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なお、熱帯雨林の約半分2,120平方キロメートルが国の保護林として手厚く保護されている。この森林地帯には約5千種類の種子植物と2千種類に及ぶ樹木が分布しており、これら植物の存在によって多種多様な動物や昆虫も又生息している。

ブルネイの地質は、第3紀層(7千万年〜2千5百万年前)という地質学的には極く新しい地層で出来ており、そのために、堆積した地層を構成する砂や粘土が十分に固まっておらず、石になり切っていない状態である。従って、軟弱な砂岩や泥岩ばかりのため山が崩れやすく、あまり大きな山体を維持することが出来ないため、高い山がなく、単調な丘陵地帯が続いている。第3紀層の地質は一見軟らかく土壌化しやすいように見えるが、緻密に詰まっているため、水や空気のとおりが良くなく、従って地表から有機物が浸透しにくく、なかなか土壌化しない。また、先に述べた通り雨によって押し流されるので一般にブルネイでは腐食土の層が5〜10センチメートルしか形成されていない。このため、樹木や作物の根が地中深く入らず、また土壌養分も少なく植物の生育が悪い。

しかし、ベライト川、ツトン川、テンブロン川などの主要河川の上、中流域では河川の土砂の堆積により比較的肥沃な土壌となっている。河川の下流地域では、マングローブ林の腐食が厚く堆積しているが、泥炭地帯となっており、農業には不向きである。ムアラとツトン西部には、ガラスの原料となる白い土、珪砂(シリカサンド)が堆積しているが、地力は更に低い。

(注) ボルネオ島の面積

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3 民族・人口等

 

ブルネイは、複合民族国家でマレー人、中国人、ドゥスン族、ムルット族、イバン族、ビサヤ族、インド人等が言語、宗教、習慣を異にしながらも調和のとれた社会を形成している。これら民族のうち、中国人とインド人は比較的新しい時期に移り住んだ人達であり他は昔からブルネイやその近隣地域に住んでいた先住民族である。先住民族の中で最大のグループはマレー人で、ブルネイ族、ケダヤン族、ツトン族、ブライト族からなる。

ブルネイ族は首都の水上住宅を中心に住んでおり、サルタンを長とし、伝統的に政治、軍事、経済を掌握してきた。ケダヤン族はブルネイ・ムアラ郡を中心に住む民族で、昔からブルネイ族に食糧を供給してきた。ツトン族とブライト族は独自の言語と習憤を持ち、ツトンとクアラブライト周辺に住んでいる。

 

 

 

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