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やむをえない設計なら[写真6.1.1 構造と配管の干渉]は、事前に加工工程で処置されるのである。

 

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写真6.1.1 構造と配管の干渉

 

船殻工程での艤装用開孔ならびに艤装品取付、塗り分け線の位置出し、シーチェスト:海水取り入れ孔の艤板:ストレーナーや、外板への傾斜開孔管端フランジの形状。曲り外板に沿って設置するヒーティングコイル・ユニット作成組立のための現寸下図…あたりが麟装図での現図作業である。

 

今や「先行塗装」や「ブロック塗装」の掛声で、吃水文字のブロック取付までに精度が上がってきた。

 

6.2 型定規作成と整理保管

つぎは、現図アウトプットの管理運用の問題である。

単独一隻限りの建造、同型・類型船ありでの連続建造、時間を置いての間欠建造などの条件にて変わるし、ブロック外注や加工先の区別でも変わる。

型定規の兼用の範囲は、各番船別、ブロック・シリーズ別、各単位ブロック別など管理の括りや、加工組立系列別でも限定するようになる。兼用の範囲が狭くなると型定規の作成量が増える。

現図以降の工程で処理された設計変更、次船へのフィードバックの型定規への織り込みも、先送りすると漏れになることが多い。

とりあえず図面から余裕を見て発注された鋼材のスクラップ減しも、次が同型船なら、部材原寸が出た時点で見直さないと間に合わない。これも型定規作成作業の一環である。

保管場所は、型・定規類に傷みや狂いがこないよう留意したい。

 

数値現図では、電子データ記録となるからバックアップさえ取っておけば、ここでの問題は大方解消する。訂正などは、直接関係する工程から行うよう意識を変えよう。

 

6.3 型定規の検査と品質向上

現図のミスは、後戻り再取材、バラシ再取付け、手待、工程遅延など、次工程以降に多大の損害を与える。ミスはあってはならず、型・定規の全品を徹底検査にかけても、その手間はペイする。だが、だからだといって作成工程の後に検査工程を、必ず重ねることはない。責任も不明確になり、どちらかというと両工程が凭れ合う形になりやすい。

 

 

 

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