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3ミリ以上のギャップは増し脚長ではカバーできないからである。

では次に、部材の種類によっての問題を眺めてみよう。

 

事例として、桁板の防僥材を[図2.1.2 部材寸法の過不足]に示す。

図の(+):材料巾寸法の不足は許されない。図面指示通りが要求される。この防撓材が帯鋼取材なら、若干(+)側にロールされているので、(-)は起こらない。問題は板からの「單品個別ネスティング切り出し」や「プレーナー裁ち帯板への取材」にある。

逆に図の(-):防撓材クリップ端は、僅かにギャップが空く程度の短かさがよい。ほんの僅かの(+)でも、組み付け時に「当たり」が出て、再切断することになる。現場で火を入れると、増し脚長の要る嫌なギャップとなりがちだ。更に注意したいのは、クリップ端が載る形鋼がまた(+)素材で、その分の(-)も見ておかなければならないことである。したがって、この防撓材長さの最適(-)量は、素材/切断の両精度の統計的な調査分析をしないと解らない。

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図2.1.2 部材寸法の過不足

 

このように適切な部材切断仕上がりを求めるには、現図の外周形状線を与えるだけでは、>マーキン>切断…と続く次工程への情報としては不完全と言える。

だから数値現図での優れたシステムは、NC切断に限らずに「切巾補正」の機能を持つし、上記の精度管理に必要な「端部補正」や、溶接収縮を補償する「延べ尺処理」も付加できるようになっているはずである。このとき補正前の「原寸」を、特に「ネット寸法」と呼んで区別している。

さきに『1.1 型・定規の機能』で、1.1.1形状の伝達、として「型定規は少くとも現図通り正確に作成される必要がある」と規定したが、これはあくまで手作業ベースの現図の話なのである。作画現図では、そのような補正の取り扱いはできない。

アナログの限界とデジタルの優位は、ここでも明らかで、『1.3 現状の問題点』で指摘した1.3.2手作業作画とコンピュータ処理の混用…を嫌う理由の一つに数えたい。

 

したがって、手作業での「現図>マーキン>切断」工程での約束事は、次のように統一する程度が現実的であろう。

 

1)現図職は、仕上がり形状「原寸」で型定規を作る。

但し(-)になってはいけない所には、切断後の「仕上がり寸法」を指定する。

2)マーキン職は、「仕上がり寸法」指定の所のみ切巾分(+)してマーキンする。

他は「原寸」通りに型定規をコピーする。

 

 

 

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