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(2) (株)ベネッセコーポレーションの取組事例

 

1] 人事・能力開発制度の基本的考え方

(株)ベネッセコーポレーションの能力開発は、平成7年からスタートした新人事制度の一環として、人事制度の全体像と有機的に結びついている。新人事制度では、雇用の基本的な考え方として、自立した個人と企業とが仕事を介して、パフォーマンスとリワードを交換する契約関係ととらえている。

(株)ベネッセコーポレーションでは、能力開発の原点を「自己啓発への意欲がすべてのベース」であるとの考え方をもっている。すなわち、「自分のキャリアは自分で磨く」のが原則であり、会社から与えたれた研修プログラムは受け身で受けるものではなく、自らが定めたキャリア目標に基づき、自らその機会を選びとって、自己責任において能力開発を行うものであるという考え方である。したがって、基本的には、能力開発は自分の時間とコストを投じて行ういわば自分への投資なのであり、その投資の結果が仕事の成果に現れれば、成果主義賃金制度の下でより大きなリワード(報酬)を獲得することができ、最終的には自分に返ってくるものだ――ということになる。

それでは、会社は社員の能力開発に対して一切の関与を行わないかといえばそうではない。自己啓発へのはずみをつけるための研修機会を用意したり、あるいは実際に自己啓発を行う上での研修プログラムを多数用意するなど、あらゆる支援を行っている。これらのプログラムを利用するのもしないのも、基本的には自己責任であるということになる。

 

2] 能力開発ポイント制

能力開発ポイント制とは、社員に一定のポイントを付与し、社員はそれを使って自主的に能力開発プログラムを選択し、受講する仕組みである。従来、教育予算は部門別に管理し、受講者の選出は部門の判断で行われていた。ポイント制(1ポイント=1,000円に換算)を導入することにより、能力開発のコスト管理は個人に帰属することとなり、また、個人の能力開発プログラムの裁量の範囲が広がることとなった。

 

 

 

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