日本財団 図書館


このように、自己啓発は人材育成のベースとなるものであるが、本人の自発的意思に基づいて行われること、原則として勤務時間外に行われ仕事の継続性が失われないことなどのメリットがある一方で、「個人の心がけの問題」としてこれまで組織としての有効な促進策はあまり講じられてこなかったようである。

しかしながら、近年、職員研修は手法においても、内容においても、充実し、多様化し、実験的なものとなってきており(職員研修の体系化)、人材育成は本人の主体的取組がベースになければ実を結ばないということが改めて認識されるところになってきており、自己啓発を促進するための様々な支援策が講じられるようになってきている。

 

(3) 職場研修

 

人材育成に求められるのは、担当する職務に関して課題を発見し、施策を的確に遂行するために必要とされる能力と意欲とをもった職員を育成していくことである。

このような職員を育てる上で最もふさわしい場所は職場である。職場研修は、わが国では職務を的確に遂行していくに当たり必要とされる基本的で、かつ、国有の知識・技術、ノウハウを習得させる上で最も効果的な手法として、公民を問わず人材育成の中心的手法とされてきた。そして、職場研修は、職場それぞれに適した個人指導ができること、職場の実情にあった教育訓練ができること、あまり経費を必要としないことなどのメリットがある一方で、各職場・個々の上司の自覚に任されるとともに、場当たり的な対応となってしまっている例も少なくなく、結果として効果的に行われていないというところが少なくなかったようである。

しかしながら、近年の職員研修の体系化を背景に、職場研修については、職場そのものが学習する場・人を育てる場でもあるということを正面からとらえ直されてきているとともに、自覚的・計画的な職場研修の取組が行われるようになってきている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION