第1章 自己啓発の必要性
本章においては、自己啓発の活性化の方策を検討するに当たり、その前提として、人材育成における自己啓発の位置付け及び本調査研究における自己啓発の考え方について、整理を行うこととする。
1 人材育成における自己啓発の位置付け
(1) 人材育成の3つの柱
地方公共団体における人材育成は、通常、職員自身が公務員(職業人)としての自覚に根ざして取り組む自発的努力である自己啓発と、職場において上司・先輩等が仕事を通して行う職場研修(OJT)と、日常の職場を離れた所で専門的な研修担当部門等が計画的・組織的に行う職場外研修(offJT)の3つを柱として行われている。これらの能力開発が相互に連動し、かつ、相互に補完されて、はじめて地方公共団体として職員に対して組織的な人材育成が可能となることはいうまでもない。しかし、人材育成は本人の意欲・主体性があってはじめて行い得るものであることから、自己啓発は人材育成の基本と位置付けられるものと考えられる。
(2) 自己啓発
人材育成が成功するためにまず必要なことは、職員が職務に関する問題意識を明確にし、常にそれを念頭に置きながら、職員が自ら担当する職務に関し課題を発見し、施策を的確に遂行するために必要とされる能力と意欲とをもった職員となるように自己の能力開発に主体的に取り組んでいくことである。