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シート46

 

セクシャルハラスメント

 

セクシャルハラスメントを巡っては、近年、多額の賠償訴訟などが起きており、関心が高まっています。セクシャルハラスメントについて、特に監督者として、どのように考えたらいいのでしょうか。

 

1 セクシャルハラスメントの定義

 

セクハラの概念は、職場における性的な言動に起因する雇用上の差別に対し、法的な救済を認めるかどうかという観点から形成されてきました。その結果、現在では、次のような行為がセクハラに該当すると言われています。

「相手の意に反した性的な性質の言動を行い、それに対する対応によって、仕事をする上で一定の不利益を与えること。又は性的な性質の言動を繰り返すことにって職場環境を著しく悪化させること」

上記の定義からわかるように、セクハラでは相手がどう感じるかが重要で、行為者の意図はセクハラ行為の有無の判断に関係ありません。「自分はほめているつもりだった」とか、「単なる冗談だった」とかの言い訳は通用しません。従って、セクハラを防止するためには、相手が自分の言動をどう受け取るかを考えながら行動することが重要です。このような姿勢は、セクハラに限らず、良好な人間関係を築く基本とも言えます。

なお、上記の定義は、法的救済を与えるという観点からのもので、よりよい職場環境を築き上げるという観点からは、より広くセクハラを考える必要があります。たとえば、 1回だけの軽微な性的な言動に対しては、法的制裁の対象にはならないかも知れませんが、だからといってこのような言動を許容すべきではありません。また、相手が同意しているならば、職場で性的な振る舞いをしていいということにもなりません。

 

2 セクシャルハラスメントによる被害

 

実際に職場で性的な言動を受けた経験がある女性の割合は、調査により異なりますが、半数以上との結果が出ている調査が多数を占めています。公務も例外ではなく、公務を対象にした調査でも同様の結果が出ています。

具体的な被害としては、解雇されたとか、退職せざるを得なかった、休まざるを得なかったなどの目に見える被害の他、仕事の能率が低下した、精神的に苦痛を感じたなど目に見えにくい被害も生じています。セクハラ行為により、職場は活気を失い、職場の人間関係がどことなくよそよそしいものになる可能性もあります。さらに、組織全体に対するイメージもダウンします。

 

3 セクシャルハラスメントの原因

 

セクハラの原因としては、まず、男女の性に対する意識の差が挙げられます。つまり、男性はある程度の性的な言動は許容されると考えがちですが、女性は多くの場合、いかなる性的な言動をも不快と感じるのです。

 

 

 

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