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また、そもそも女性を仕事における平等なパートナーとして考えていない男性が少なくないようです。女性を補助者としか考えてなかったり職場での精神的な疲れを癒してくれる清涼剤として女性を見ている男性が少なくありません。

さらに、相手に対する支配者意識・征服意欲もセクハラの原因と考えられています。つまり、弱い相手を征服したいという意識であり、男性の上司による女性の部下に対するセクハラはその典型と言えましょう。

職場環境も重要な要因です。すなわち、職場や上司がそのような性的な言動に対して許容的である場合には、セクハラが起こりやすいと言えます。男性が大多数を占める職場などには、ときどきそのような傾向が見られます。セクハラは性的な言動を行った者と受けた者の私的な問題であって、職場として関与すべきではないという監督者や同僚の傍観者的な姿勢も、セクハラ行為を助長すると言えます。

 

4 セクシャルハラスメントを防ぐには

 

監督者は、セクハラを行為者と被害者の個人的な問題として放置することなく、職場の勤務能率、人材活用を低下させる要因としてとらえ、断固として排除する姿勢を取ることが重要です。そもそも管理者には、よりよい職場づくりの責任があり、セクハラの定義に該当するか否かを問わず、職場環境を悪化させるような行為を排除する責務を有しているのです。

職場はあくまで職務を遂行する場であり、職員は男性であれ、女性であれ、仕事を達成するための同僚であって、決して性的な欲求を満足させるための対象ではないということを明確にする必要があります。セクハラを防止するには、性別による固定観念を排除し、人間関係の基本である相手の立場に立って考える姿勢を定着させることが大切です。

また、セクハラを受けた者が相談しやすい雰囲気を作り、実際にセクハラが起きたときには行為者に注意をしたり、幹部に報告するなど被害者の立場に立った適切・果断な措置が求められます。セクハラの加害者が有能で、功績のあった職員だからと、注意することなく放置したり、被害者の方を異動させることにより解決しようとする態度は、被害者の救済にならないばかりか、再発防止にも効果がありません。

 

 

 

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