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リアクションと神経炎の免疫学上の原理についても簡単に検討したが、いくつかの証拠からTNF-アルファがこれらのプロセスに重要な役割を果たしているらしいことがわかった。そのほかのサイトカインもリアクションに大きく影響していると思われる。これまでの会議でも何度となく、遅く現れてくるリアクションと、神経損傷の再発とを区別することが難しいという点が討議されてきた。これは今後も臨床的・病理学的課題として残るだろう。

 

現在行われているリアクションの治療を考えるとき、コルチステロイドの投薬量と治療期間に関して、臨床的に比較実験したデータがないことに、グループは懸念を表した。WHOの第7回専門家会議(1997年6月、ジュネーブで開催)が推奨した投薬量は少なすぎるし、治療期間は短すぎると、グループは感じている。

 

コルチステロイドを用いた治療期間を決めるための実験が、複数の機関によってインドで現在行われている。新しいMB患者がリアクションや神経の損傷を起こさないようにするための、コルチステロイドを予防的に使用する無作為の対照実験がバングラデシュやネパールで行われている。

 

コルチコステロイドに反応しない患者に対する第2の治療法として、現在使用できる免疫抑制薬を評価する必要についても話し合った。急性神経炎の管理に神経剥離術がどのような役割を果たすかについても、多数の機関がかかわって実験をする必要がある。上に述べたような、多方面が協力する研究は、質の高い証拠を得て、ハンセン病患者の治療を最高のものにするために必要なものである。このような実験のための資金提供がもっとも急がれる。

 

結論

ワークショップの参加者たちは、注意深く適切な患者の評価、病原論の研究、質の高い臨床実験などを組み合わせれば、必ずハンセン病患者のケアの質は改善されると自信を深めた。

 

参加者:

D・ロックウッド(議長)、D・スコーラード(報告者)、W・ブリトン、R・ジャースキー、R・バーネットソン、B・ナアフス、アンティア博士、A・アンダーソン、S・スネータ、P・ソーンダーソン、シェティ博士、E・サーノ、E・サンバイオ

 

 

 

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