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神経の損傷とリアクション

 

議長:D.ロックウッド博士

 

1) 神経の損傷は今なお大きな問題である。

2) 神経の損傷は十分理解されていない。

3) 現在の療法や将来の療法の対照実験が緊急に必要である。

 

ワークショップの参加者は、神経炎とリアクションを疫学、病原論の面から討議し、現在勧告されている療法について話し合った。

 

疫学的に見て、病気が多菌性(MB)であることと年齢(15〜44) とが、リアクションや神経の損傷を引き起こす主なリスク要因のようである。妊娠や思春期のようなホルモンの変化とリアクションとの関連を示す適切なデータがないことに、グループは気づいた。また、MDTの投与を終わった後、患者の40%が最初のリアクションを体験していることがデータから読みとれる。これは、患者のマネージメントにとって非常に重大な意味を持つ。患者にはリアクションについて注意深く指示を与えておき、症候が現れたら速やかに手当を受けるように助言しておかなければならない。患者によっては、明らかに治癒してからかなり時を経て神経炎が発症する例もあることに、私たちは改めて認識した。

 

多くのセンターで、知覚機能を調べる感覚テストを有効に使っていることにグループは注目した。しかし、これらのテストの信頼性や、診断のためのカットオフ、特殊性、感度などを十分考慮することが大切である。テストの結果のスコアリングには、たとえばそれぞれの神経についてスコアを記録するといったように、論理的に行うべきである。機能的な結果も、運動や感覚の機能と同じように考慮すべき重要な尺度である。職業やそれにともなう機械的な神経ストレスも結果に影響を与えることに、グループは気づいた。

 

神経の損傷は、3つの段階を経て起こる。

1) M.1epraeが神経に局在すると

2) 進行性の神経炎になり

3) 後に神経の損傷が残る。

 

らい腫型の神経について調べるために、アルマジロの神経がモデルとして役に立つことが証拠とともに発表された。結節があるタイプの神経損傷は、直接M.lepraeを注射したハツカネズミの神経に起こることが見られた。

 

ムンバイでの研究から、MDTを完了した患者の神経から生存能力のあるM.lepraeを取り出せることがわかった。この発見が臨床的にどのような意味を持つかは、いまだわからないままである。

 

 

 

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