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5)  障害の予防と管理

エチオピアのセルフケア・グループの例が発表された。ハンセン病患者協会が重要な役割を果たしながら、これらのグループを援助し、リハビリテーション・サービス(身体的リハビリテーションばかりでなく、社会的、経済的な復権も含む)の提供も支援している。スティグマについても話し合った。場合によっては、感染率が低くなるにつれてスティグマが増す傾向もあるように思われる。

 

患者協会ばかりでなく、そのほかの組織(たとえばNGOや政府の福祉厚生担当省など)も、足を保護する履物を用意するなど、基本的なサービスの提供に取り組む必要がある。

 

6) コスト

総合的に取り組むことでかなりコストを抑えることはできるが、追加的に必要な経費も考えなければならない。特に、住居からかなり遠い受け入れセンターにたびたび通う費用など、患者に直接かかってくる経費がある。専用の履物のような必需品を買う費用も支払わなければならないだろう。

 

たとえコストを節約することができるとしても、それに重点をおくと、個々の患者に対する症例管理の質は低下するだろうと思われる。

 

7) 都市部と農村部

都市部と農村部では、ハンセン病患者が直面する問題も違っている。しかし、問題の多くはハンセン病にかぎったものではない。この点ではハンセン病患者もその他の病気の患者も同じであり、基本的な保健サービスや、既存の受け入れ施設を強化することで、彼らの状況はよりよくなるだろう。

 

8) 監視活動

監視活動で主に問題となるのは、たいていデータを集めすぎることである。こういった状況を考えると、定例の報告は最低限の情報で十分であろう。そしてそれ以上の情報が必要になれば、適切な調査を行えばよい。必要最低限の情報とは、新しい患者の数、治療を完了した人数、身体障害度2を持つ新しい患者の数である。

 

9) 研修の必要病気の兆候に気づき、受け入れ施設に送るための研修が、末端のレベルで求められている。このような研修は皮膚科の領域で、特にタンザニアで行われてきた。その地域にありがちな皮膚の症状を5つから6つまで、見分けたり治療したりできるように、末端のワーカーに研修を行うものである。

 

 

 

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