ただ,ホスピスで仕事をしたいとか,あるいはボランティア活動をしたいという思いをもって集まっている人たち同士ですから,お互いを憶測だけでものを言うのは非常にもったいないのではないかという,思いもあって企画したのです。1時間ほどのグループワークをしたのですが,｢活動を通してのとっておきの話をお互いに披露し合う｣というテーマを設けました。
　実にたくさんのとっておきの話が出てきたようです。そして,お互いがどんな思いで仕事をしているか,どんな出来事がその人の心の琴線に触れていたのかというのを聞いて,互いの理解が深まったと思うのですが,グループワークだけでとどめておくにはもったいない話題をぜひ皆さんに披露してくださいということになりました。その中に出てきた話というのがいくつかここでご披露してみましょう。
　ユーミンというミュージシャンの大ファンだという36歳の女性患者さんがいました。ユーミンの追っかけをするくらい大好きだった。ちょうどそのユーミンのコンサートが葉山マリーナであって,ボランティアがいろいろ手配をしてチケットが手に入った。ぜひそのコンサートに行けるように体調をととのえたいということで,スタッフも患者さんと一緒にいろいろ頑張りました。体調がどんどん悪くなってしまうので,最初は車いすで行くつもりだったのが,もうとても車いすでは行けないから,寝たまま寝台で入れるかどうか聞いてみようとか,いろんな手配をして,残念ながらとても行ける状態ではなくなってしまったのですね。そうしたら,直接ユーミンにお願いをして,電話ででも話してもらえないか聞いてみようというところまで話が発展して,ボランティアとスタッフが一緒になってとうとうそれを実現させて,励ましを受けたというエピソードがありました。

　

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