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その後は,また体調がくずれましたが,亡くなる2週間ほど前に,主治医に「私はあと2週間生きられますか?」と聞いて,「うん,2週間かどうか。もっと長いかもしれないし,もうちょっと短いかもしれないし,いまの様子ではちょっとよくわからないなあ」とお話ししていましたが,今回このお話しをするのに,カルテをもう一度見てみましたら,「あと2週間ですか?」とおっしゃったちょうど2週間後に亡くなられていました。受け持ちの看護婦が最後に「患者さんは症状や予後に関して非常に冷静に受け止めていた」という記録を残していましたが,本当にその通りだったということを改めて思いました。
 このエピソードで言いたかったことは,ボランティアとしてそこで活動しているそのこと自体に,もうすでに意味があるのではないかと思えるということです。それはその方に意図的にボランティアがしてさしあげようとかいうような介入ではなかったと思うのです。普通の自分たちが毎日しているボランティア活動を淡々となさっていたと思うのですが,それを患者さんの側が,自分のもっている感性で受け止めて「生きたくなった」という希望につながったわけですね。そういう意味でも,ボランティアとしてそこにいること自体に非常に大きな意味があるのだと感じました。

ボランティアの喜び

 話が飛びますが,先日,ピースハウスの交流会というのが開かれました。これはボランティアと職員との交流会です。普段同じ屋根の下で活動しているのですが,なかなかお互いに名前と顔が一致しなかったり,どんな思いで活動あるいは仕事をしているのかというのを話し合う機会がないのです。忙しく自分のルーティンワークをしていますと,積極的に話をしないでいるという理由には事欠かないという状況が起きてしまうのです。

 

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