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中庭には四季折々の花が咲く

“迷う”―ことのたいせつさ

 先ほど,患者さんの自己決定という話が出ましたが,いろいろなことをご自分でお決めくださいといっても,決められないということがよくあります。医療者としては,患者さんが決めてくれれば,「患者さんが決めたのだからこれでいい」という安堵する部分があるのですが,どんな説明をしても,「とても決められません」と言う患者さんやご家族もよくおられます。ある患者さんは,とてもユーモアがある方ですが,少し状態が落ち着いてお家に帰って過ごせる状態なので,そういうのはどうですかという提案をしてみましたら,とても帰りたい気持ちはある,でも,心配な気持ちもあって,「私はいまNOVAなんです」とおっしゃる。NOVAという英会話学校のコマーシャルですが,「入ろうかやめようか考え中」とつづくのですが,本当にその気持ちって「そうだろうなあ」と思います。そういう意味では,もし時間が許すなら,考える時間,決めていく時間というのはとても必要ですし,迷っているというプロセスも大事だと思います。

 

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