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チャプレン(chaplain)という英語のスペルのAを取ると有名な映画俳優の“チャップリン”(Chaplin)になります。チャップリンの映画には,よく"ユーモアとぺ一ソス"ということがきまり文句のように書いてありますが,ユーモアというのは皆さんご存知のとおりですが,ペーソスというのはパトス,つまり悲しみを受けるという受動的な意味合いの言葉です。先ほどの日野原先生のお話にもありましたが,他者の悲しみや苦しみを深く感じとられる人が,なおかつそこに染まってしまうのではなく,最後の土俵際でユーモアに転換させる,そういう人間になりたくて毎日仕事をしているようなところがあります。
 これからつらい別れをしなければならないという方々が,本人や家族を含めて毎日のように私たちのところに来られますが,そういう方と話していても,やはり笑うときが必ずやってくる,そういうことを私は信じております。最初はどうにもならないような悲しみの話が多いのですが,その話を聞いていくうちに,必ずウフフとかニヤニヤとか口元をゆるめるときがやってくる。それが私たちの仕事なのかと思っております。
 具体的に,少し私がお付き合いした方の遺言―遺言というのは誰かに伝えたい言葉であって,決して内緒の言葉でないと私は思っているので,皆さんに2,3伝えたいと思います。そこから私の仕事というのが少し理解していただけるのではないかと思っています。

逝かれる方の遺言から

●Aちゃん―たいせつなのはいのち
 私はたくさんの人から直接遺言のようなことも聞きますし,また本人がそれを意識していなくても,何か遺言のようなメッセージを受ける,また直接会っていなくても,その人の文章からこれはこの人の遺言だと思われるようなものを受ける場合があります。

 

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