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第2章

病む方々と生きる

佐々木道人
聖路加国際病院チャプレン

 

病院付きチャプレンの日々

 ボランティアを志し,あるいはいまボランティアをなさっている方々の前でお話できることをたいへん喜んでおります。まず,チャプレンという名前を聞いたことがない方もおられると思いますので,その仕事を紹介しながら話に入りたいと思います。
 私はキリスト教の教派の一つ,聖公会の司祭です。聖路加国際病院を100年ほど前につくったルドルフ・トイスラーという医師がアメリカから派遣されてきたそのミッションの母体が米国盟公会なのです。そして私は聖路加国際病院へ派遣され,その病院付きの牧師として働いております。
 毎日もしくは日曜日の礼拝の式をしますが,そのほかに,強いていえばあらゆる人のお話を聞く仕事をしているということでしょうか。牧師というのは,何かお説教をしたりするというような能動的なことをしていると思われがちですが,私はこの仕事をやればやるほど自分が聞く側の人間になっていくことを強く感じています。そして,何気なくやって来る人々の話を聞きながら,自分がもう一度聖書を読んでいくのではないかと思ったりしています。

 

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