制度的に医療費として出る分と,社会福祉費として出る部分で予算が別ワクになっていますから,ボランティアとかソーシャルワーカーについて国の医療費で福祉関係者のお金は出せないということでは,そういった人たちの分はボランティアセクターで集めなければなりません。ですからお金をやりくりしてチームの編成を行っているという状況です。
チーム医療の必要性
なぜチームでケアに当たることが必要なのでしょうか。それはその患者なり家族がただ医学的なことばかりではなく,霊的な問題とか情緒的なニーズなどがあるからで,それに応える形として出てきたわけです。患者本人とその家族のニーズは多面的ですから,とても一人の人がすべてのニーズに応えきれないのは当然で,そこからチームというコンセプトが生まれてきました。
チームケアというのは,ナースが威張りたがって,これまで医師のもっていた権力を奪おうという陰謀ではないかと言う人がいます。
チームケアというのは単に緩和ケアの問題だけではなくて,一般の医療に対しても適応できる考え方だと思います。チームケアだから何人かの人たちが患者を訪問していけばそれがチームケアだろうというのではなくて,それにはやはり調整が不可欠だと思います。きちんとチームケアを提供すれば,全人的なケアを患者本人と家族に対して行うことができるということです。チームの中のそれぞれが持ち寄る技術によって,患者や家族の選択肢がふえるはずです。
しかし,チーム医療がうまくいかない場合にどうなるかといいますと,患者さんを混乱させ,患者さんの存在自体を小さくしてしまいます。
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