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判読結果に不確定さが残ってしまう。本研究の場合では、海面に高輝度部分が見られること、氷盤に白いものと黒いものがあること、など解釈が難しい箇所が見られた。

(2) SARの種類と流氷観測の適用性

SARには、使用するマイクロ波の周波数、電波の入射角(オフナディア角)、偏波によってそれぞれに特徴がある。現在、運用されているSAR搭載衛星についてこれらの点を比較し、表12に示した。

 

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周波数についてはこの他にもXバンド(9.4GHz)があり、航空機SARなどに用いられている。

一般に周波数が低い(波長が長い)ほど流氷への浸透が大きく、周波数が高い(波長が短い)ほど表面散乱が大きくなるとされている。Onstott(1992)によると一年氷と多年氷の区別にはCバンド以上が適しているとされており、流氷観測を目的の一つとしているERS-1、RADARSATがCバンドを搭載した理由の一つと思われる。ただし、一年氷しかないオホーツク海では必ずしもCバンドが最適とは限らない。この点についてはLバンド系との比較が必要と考えられる。

偏波については、VV偏波よりもHH偏波の方が凍結域と非凍結域の区別が容易であるとされている(RADARSAT製品/サービスガイド)。

入射角については、小さい(垂直に近い)ほど鏡面散乱が大きく、大きいほどブラッグ散乱が卓越する。風の弱い状態であれば入射角が大きい方が海面が低輝度になり、流氷との区別がつきやすいと考えられる(この点でJERS-1画像の方が判読しやすい場合があるものと思われる)。

(3) 取得コスト

現在、入手可能な衛星SAR画像の金額を表13に示した。地図に重ね合せることを仮定して地図座標への変換済みCD-ROM製品の金額で比較した。RADARSATが特に高いが、緊急時に2〜3日という短い回帰日数で撮影をオーダーできる点に特徴がある。

 

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