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2.3 判読および解析

 

2.3.1 流氷分布

(1) 流氷分布に関する研究事例

? 欧米の事例

アメリカ、カナダ、ヨーロッパにおいては早くから合成開口レーダを流氷情報に活用しようという試みが行われてきた。SEASAT(1978)の合成開口レーダによって流氷へ応用が実証されてからは、航空機SARなどを用いた実験が続けられ、1991年のESAによるERS-1、1995年のカナダによるRADARSATの打ち上げによって本格的に流氷情報への利用が始まった。

ヨーロッパおよびカナダの目的は主として北極航路への適応であり、リアルタイムなデータ提供を目指した実験(船舶と衛星の同時観測と船舶への情報提供など)も実施されている(Frette et al., 1992)。

現在、Canadian Ice Serviceから流氷情報が提供されており、凡例の形状から一般にEgg Chartと呼ばれている(Egg Chartの例を巻末の添付資料として示した)。

航空機SARを利用した研究事例では、L-band(1.2GHz)、C-band(5.3GHz)、X-band(9.4GHz)の各周波数での画像を比較した例がある(Onstott, 1992)。

? JERS-1/SARによる流氷分布の解析

オホーツク海の北海道沿岸においてJERS-1のSAR画像から、後方散乱係数によって海面と流氷とが比較的明瞭に区別できるとした例がある。これはJERS-1の入射角が大きく、風浪による海面の散乱が小さいためと考えられる。

(2) 気象条件と流氷分布の把握

収集した画像(3月26日)前後の流氷の動きを把握するため、3月23日〜28日の期間について流氷情報センターによる流氷分布図を(1)〜(6)に、網走地方気象台による網走および斜里の風向、風速、気温、降雪の有無を表9に示した。さらに25・26日の網走の毎時風向・風速を表10にそれぞれ示した。

 

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