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「その他」の回答としては、「業務の多様化に対応するため」、「労働の時間(量)から質への転換」という回答をいただいた。

イ.前問の導入職位層とからめて導入の因果関係を予測してみると、人口高齢化に伴う高齢者比率の高まりと少子化の結果である労働力人口の減少は、今後、労働力需給の逼迫を生じさせることは想像するに難くなく、また、組織構造が変化し、専門能力の高さや創造性をもった企業が強い企業になっていくことなどを考慮すると、(ただ、人数を揃えればいいというわけではなく)若年層の時点から人材の質を高めることが重要となってくる。その点「係長クラス」、「主任クラス」あるいは今後増えるであろう「一般職員」の職位層からに裁量労働制を導入することは、早い段階で高い能力と資質を高める要素となり、日本的雇用慣行である年功序列から能力・業績主義への移行、さらには労働力人口の減少による企業生き残りのための少数精鋭者の育成になり得るものと思われる。

なお、この制度は業績によって、従来よりも個人の処遇の差がはっきりとつくこととなり、早い段階での昇格・昇進格差、離職を産むことにもなりかねず、労働力需給の逼迫による雇用の流動化とは別の意味の雇用流動化を招くことにもなりかねない。

 

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