日本財団 図書館


4.ホワイトカラーに対する導入への対応〔第79〜81表参照〕

昨年末、労働基準法の見直しを検討してきた中央労働基準審議会は「裁量労働側」の対象職種を企画・立案部門などのホワイトカラー労働者にも拡大するよう最終報告をまとめた、との報道がなされた。

1987年に「裁量労働制」が初めて導入され、当初は、創造性や専門性の高い職種(研究開発、情報処理システムの分析・設計)を対象とした制度であったが、昨今ホワイトカラーを管理し、生産性を向上させなければ、今後の日本の産業界で生き残れないという危機感から、個人が計画性をもって自分をコントロールしながら仕事を進め、本人の能力を伸ばすのに役立つ裁量労働制の職種範囲にホワイトカラーの拡大が求められていた。

ア.そこで、労働基準法が改正され、ホワイトカラーに対し、裁量労働制の適用が可能となった場合、その適用に踏みきるかを調査してみたところ、284社から回答を得た。その結果、全体では「導入する」、「導入を前向きに検討する」と回答した企業は7.0%、20.1%で、この両者で27.1%の率を示した。企業規模別には、規模の大きい企業ほど導入に前向きであることがはっきりと出た。

なお、前述した技術系の常勤従業員を有する企業を対象にした裁量労働制の導入状況と見比べた場合、制度改正によりホワイトカラーに裁量労働制を導入する(「前向きに検討する」を含む)が、技術系職員の導入している(「予定している」を含む)を全体で9ポイント上回った結果となった。また規模別、産業別でも前者が後者を上回っていた。

まだ制度改正はされていないものの、企業内においてホワイトカラーが全従業員に対し高い比率で存在していることを考えると、ホワイトカラーの生産性の向上が企業の浮沈をにぎり、それの手立の一方策に裁量労働制の導入を企業側は重視している感を得た。

イ.次に問16の技術系従業員の導入状況とホワイトカラーへの導入対応をクロス集計してみたところ、すでに技術系従業員に裁量労働制を「導入している」企業は、ホワイトカラーに対しても「導入する」44.8%、「導入を前向きに検討する」34.5%と、両者合わせて導入する方向で高い率を示した。

また、技術系従業員に「導入を予定している」企業も、ホワイトカラーに対し裁量労働制の導入に前向きであるとの結果を得た(ホワイトカラーに「導入する」14.3%、「導入を前向きに検討する」71.4%)。

 

069-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION