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(6) 風速試験

風速30m/sにおける膨脹試験により、風速に対して現在の構造で基本的には問題がないことが確認された。天幕の破損はいずれもファスナー部の特定の場所であったため、必要な補強をすることで解決可能と考えられる。

今回試験に使用した風洞設備は試験品に対し、大きさが十分ではなかったので、今後の試験実施にあたり、より大きい設備が必要になると考えられるが、風洞設備を使用せず、テストコース等を利用して大型トラックの荷台上での試験も可能と考えられるので合わせて検討することが望ましい。

 

9. 今後の展望

昨年度よりの2カ年に渡る調査研究の結果、排水弁の構造、コンテナのシール方法等の若干の課題が残されたが、25人用の救命いかだについては、ほぼ実用化の見通しが付けられたと考える。今後の新型式救命いかだの製品化にあたり、本調査資料が有効に生かされることを希望するが、今後の展望として以下の事項があげられる。

 

9.1 大型救命いかだについて

本調査研究においては、25人用の第1種膨脹式救命いかだを対象として検討を進めてきたが、50人用程度の大型救命いかだの需要も将来考えられる。その場合の構造についての概略は、3.5実用品としての構造において述べられているので、その方向で開発を進めることにより、実用化は可能と考える。

大型いかだの実用化にあたり軽量化をめざすことになるが、軽量化にも限界があり、ある程度の重量増加は避けられない可能性もある。その場合、人力による取り扱いが困難等のいかだ整備上の問題等が発生することを考慮しておく必要があろう。

 

10. まとめ

昨年度は、まず、自己復正型及びリバーシブル型のそれぞれの型式につきLSAコードA.689改正案に規定されている性能・試験基準案を整理・検討し、つぎに、これらの性能要件等を満足する各種基本構造の救命いかだ、即ち、リバーシブル型救命いかだ3タイプ、自己復正型1タイプにつき、それぞれの性能上の問題点、加工性、重量・サイズ、価格等につき比較検討した。その結果、在来の救命いかだの寸法、艤装品配置等に若干の変更を加えた自己復正型が最良と判断したので、これを一次試作品とし、非浸水時及び浸水時のそれぞれの場合につき復元性能を計算後、諸試験を実施した。その結果、いずれの場合においても自己復正力を保持する設計が可能であることを確認した。

 

 

 

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