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天幕に水を入れない状態の測定は、正立姿勢から逆転姿勢にひっくり返す回転方向で測定、水を入れた場合の測定は、逆転姿勢から正立姿勢にもどす方向で実施した。この場合、実際には135度付近で天幕内の水はほとんど抜けており、90度及び45度の測定は水を入れない場合と同様であったと考えられる。

測定結果を表12及び図9に示す。なお、表12のGZ*は得られた復正モーメントを単純にいかだ重量で除したものであり、水を入れた状態の182度及び128度の場合は、天幕内の水といかだの合計重量で除するのが適当と考えられるが、この場合の水の量が明らかではないので参考値とした。

図9より、135度及び90度付近において、天幕内に水がある場合にモーメントが減少する傾向が現れているが、前述のとおり、90度の場合はいずれも水なしの状態に相当すると思われ、モーメントの差は、水の有無によるものではなく、回転方向の差による艤装品の移動による重心位置の変化に起因するものと考えられる。

即ち、逆転状態から90度方向へ立ち上げる場合(水ありの場合)は床面が折れ曲がったまま(艤装品位置移動)で立ち上がり、正立状態から90度方向へ立ち上げる場合(水なし)は、床面は正常(艤装品位置移動は少ない)のまま立ち上がる。

135度の場合については、水の影響と考えられ、図7の復正状況における回転速度低下に対応していると考えられる。

(d) 重心位置の測定

復正試験終了後、試験品を陸上に上げ、落下試験水槽のクレーン及びフォークリフトでいかだ中央部の両側をつり上げ、180度横転状態において、左右方向における重心を測定した。また、90度横転状態で同様につり上げ、上下方向における重心を測定した。結果を表13に示す。

いずれの場合も、測定時は艤装品部で外部補強気室及び床面が折れ曲がった状態であり、復正試験の状況に近い形であると考えられる。床面の折れ曲がり程度を概略測定し、艤装品の移動量を推定計算すると、横方向の移動は中央へ約8?、上下移動が約30?であった。これをもとにいかだ全体の重心計算を修正すると、横方向重心ボンベ側0.495m、上下方向重心床面より0.414mとなる。修正した計算値と比較すると、横方向について約4cm、上下方向について約10cm程度の差があるが、これは正確な測定が困難であったための測定誤差及び推定計算の誤差と考える。

いかだ底面の状態を写真5(折れ曲がりがない場合)及び写真6(折れ曲がった場合)に示す。

(e) 実測値と計算値の関係

復正モーメント及び重心位置の測定で得られた実測値と、計算値との関係を検討した。

復正モーメント測定における天幕内に水がない状態の180度転覆時におけるGZ*(0.571m)は、横方向の重心位置に相当すると考えられ、表4における0.571m(折れ曲がりがない場合)及び表13における0.495m(つり上げて折れ曲がった場合)の中間値とほぼ一致している。

 

 

 

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