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?自然エネルギーの利用

・海洋熱エネルギー

熱帯から温帯地域では、海洋の表層は太陽光エネルギーによって30℃に温められている。一方400〜500 m の下層では 10 ℃ の冷海水が流れている。海洋熱発電では、この温度差を利用して発電を行う。例えば、日本近海の黒潮域を利用した場合で、1,500 万kW の発電が可能であると言われている。国内でも実験的な発電所が建設され技術的な問題はほぼクリアーされているが、設置地域が限定されてしまうこと、施設設置コスト、電送コストなどが大きな問題として残されている。

 

・海洋運動エネルギー

海洋の運動エネルギーを利用したものには、波力発電、海潮流発電がある。ここでは波力発電を中心に述べる。

波力発電は、波の持つ位置エネルギーと運動エネルギーを利用した発電である。日本列島の周囲5200 kmで波力発電を行ったとすると、3,600 万kW が得られるという。国内外でさまざまな実験施設が建設され、コスト面でも市販電力程度の価格を目標に開発が進められている。

 

・海洋位置エネルギー

海洋の位置エネルギーを利用したものには潮汐発電がある。潮汐発電は潮の干満差を利用した位置エネルギーで発電する方法である。フランスにある潮汐発電所では、干満差が13mもあり20万kW の発電出力があるが、日本近海では、干満差が最大の有明海でも4.5mしかなく、日本ではあまり適さない発電方法である。

 

・海洋塩分濃度差エネルギー

塩分濃度差は、河川水が海に流入する河口付近にみられ、塩分濃度差によって生じる浸透圧、濃淡電池、蒸気圧差を利用する 3 種類の方法がある。しかしながら、得られる電力量、技術的な面から実現性は低いと考えられる。

 

?化学的固定法

・海水中のアルカリイオンによる固定

海水中にはカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)などのアルカリイオンが含まれている。これらのイオンはアルカリ溶液中で炭酸イオンと反応させることにより、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)を形成する。この原理を利用した二酸化炭素の固定化装置は、気体である二酸化炭素と液体であるアルカリイオンとを反応させ、固体である炭酸塩を生成し、回収する装置である。最も有望なものに、カラム浮撰機というものがあり、既に鉱山における精製行程で使用されているが、高速高効率化が課題である。

 

 

 

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