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11.被災地安全確保対策

被災地では、多数の建物が被害を受け、居住者や沿道の安全性確保のため、建物の危険度を判定する必要が生じ、全国からの応援を受けて急遽被災建物に対する応急危険度判定が行われたが、市民へのPR不足、判定士の絶対数の不足、り災証明の家屋被害判定との混同等問題が指摘された。

地震直後から避難所等へ弁当や食品が搬入され被災者へ配給され、食品の衛生上の問題、避難所の衛生管理の問題が指摘された。

東灘区の高圧ガス製造施設の低温LPGタンクからガスの漏洩事故が発生し7万人に避難勧告が出されたが、こうした危険物・有毒取り扱い施設に対する防災対策の重要性が再認識された。

災害から数日が経過した段階から、崩壊建物の撤去作業がはじまり、ほこりや粉塵が空気中に舞い、さらに自宅が半壊した被災者が家の片付けをはじめ、大量のゴミが道路に散乱し、被災地において環境衛生上の問題が発生した。

被災地の安全確保対策の課題として、被災建物危険度判定システムの確立、被災地の安全確保方策の検討、被災地環境管理システムの検討等があげられる。

 

12.ライフライン対策

地震が発生し、ガス、上下水道、工業用水道、電気、電話等のライフライン施設に甚大な被害が発生し途絶した。この結果、市民の生活や防災対策に大きな影響を与えた。また、復旧に関する情報の伝達にも問題が生じた。

また、ライフライン復旧のために被災地に入った応援部隊の資機材置場、駐車場等が不足し、復旧活動に支障が生じた。

ライフラインの課題として、ライフライン施設の耐震化、早期復旧システムの構築、応急給水システムの再検討、迅速で正確なライフライン情報の提供、空地管理システムなどによる復旧拠点の提供、ライフライン相互間の連携方策の検討等があげられる。

 

13.交通・輸送対策

地震発生後、電車や地下鉄等の公共交通機関が途絶し、橋や高速道路等の施設が崩落した結果、道路渋滞が発生し、緊急車両や代替バスの通行に支障が生じた。

空からの緊急輸送手段としてヘリの活用を図ったが、ヘリポートや空路等の確保、災害時の航空管制等に問題が生じた。また、海からの輸送として、旅客船やフェリーを活用したが、港湾施設が設計段階で想定していた地震力をはるかに上回る力が働いたため大きな被害を受け、海上輸送にも障害が発生した。

交通・輸送対策の課題として、地震発生時、交通規制システムの整備、緊急道路啓開、緊急輸送道路の確保、代替交通システムの検討、災害時空路・海路確保方策の検討等があげられる。

 

14.生活安定対策

住居に被害を受けた多数の避難者の生活安定のために、県知事により応急仮設住宅が建設されたが、用地の確保や被災者ニーズへの対応等に問題が生じた。

また、避難生活が長引き、避難所として使われていた学校等の教育施設の再開時期が問題になった。

全国から多くの義援金が寄せられ、被災者に配分された。また、県市の見舞金が支給されたが、対象者が多数であったため、時期や配付方法に問題が生じた。

生活安定対策の課題として、応急仮設住宅供給システムの検討、長期化に伴う教育再開方策の検討、義援金配分システムの検討、災害見舞金等の支給システム

 

 

 

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