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備、メンタルケアシステムの整備、市民への応急処置の普及等があげられる。

 

7.地震火災対策

阪神淡路大震災において、同時多発火災が発生したが、消火栓が使用不能になったこと、消防署等の施設自体が被害を受けたことや地震直後の情報収集が困難だったこと等から、消火活動は困難を極めた。また、地震発生後、119番の専用線119回線のすべてが受信状態となり、地震の影響で回線異常で通信できないなど震災通報にもトラブルが生じた。

地震火災対策のハード面の課題として、消防署等施設の耐震化、耐震性防火水槽の設置等震災対応の消防水利の整備と総合的な消防力の強化があげられ、ソフト面の課題として、震災時における消防体制の見直し、情報収集システムの改善、災害時交通規制の徹底、広域応援体制の見直し等があげられる。

また、消防団の強化と資機材の備蓄の充実を図る等地域の防災力強化も重要な課題である。

 

8.市民・企業の自主的防災活動

今回の災害は激甚な被害が発生したが、行政機関自らも被災するなど、行政だけでこの激甚災害に対応するには限界があった。このため市民の協力による初期消火活動や救助・救出活動がなされ、市民や被災者自身が避難所の運営や避難生活の改善活動に携わり活躍した。また、企業においても、人材や物資を提供する等、災害対策活動に貢献した。

市民・企業の自主的防災活動の課題として、災害時の市民、企業の役割の明確化、自主防災組織の育成と強化、備蓄の推進等市民の防災意識向上、企業防災活動の強化等があげられる。

 

9.避難行動

想像を超える被害が発生し神戸市内において、最大で23万人の被災者が学校や集会所等の避難所に避難した。一瞬に広範囲で被害が発生したこと等により、的確な避難誘導や避難勧告の発令・伝達方法に問題が生じた。併せて従前の地域防災計画における震災時の避難計画も不十分であった。また、避難所の運営・管理計画がなく、多くのトラブルが発生した。

震災時における避難の課題として、地震災害時の避難システムの構築、避難場所・避難所・避難路の整備、避難勧告・指示の発令等情報伝達システムの構築、避難所運営システムの構築等があげられる。また、今回の地震では、津波は発生しなかったが、津波に対する避難システムの検討も重要な課題である。

 

10.救援・救護対策

救援・救護対策の問題点として、障害者・高齢者等の要援護者及び外国人等災害弱者への対応が遅れたことが指摘できる。また、道路渋滞により物資の輸送に障害が生じた。併せて、物資の受入・配分にも問題が生じたことがあげられる。

また、避難所等に救護所が設置されたが、具体的な運営方法等は構築されていなかったことから、現場において混乱が生じた。

今回の災害は大量の死者を出し、遺体安置所や火葬場の手配等に混乱を招く結果となった。

救援・救護対策の課題としては、災害弱者への対応システムの整備、災害時応急物資の備蓄整備、物資の運搬、配給システムの構築、救援物資の受入・配分システムの構築、救護所の設置、運営システムの構築、遺体の捜索・埋火葬システムの構築等があげられる。

 

 

 

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