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ランティアの受入れについてはじめての経験であったため、受入れ窓口を急遽設置したが、十分な対応が取れなかった。さらに、他の自治体や関係団体の応援部隊が被災地に入ったが、車両の駐車場や資機材の保管場所等の活動拠点にも不備があり、十分な対応ができなかった。

防災活動の課題として、災害発生時の初動体制の確立と対応内容の明確化、災害対策本部、区役所等のバックアップ機能整備、初動期の情報収集・伝達システムの整備、職員動員システムの確立、職員配備体制の確立、災害対応の役割の明確化と均等化、災害対策の調整機能の整備の検討等があげられる。

また、平常時からの空間地の把握と災害時における空地の有効活用のシステム整備と、応援部隊や災害ボランティアの受け入れ態勢の整備等が課題としてあげられる。

 

4. 情報収集・伝達・広報

阪神淡路大震災において、被災自治体は電話の輻輳や無線設備の機能障害等により、情報収集が困難であった。神戸市では、同報無線は設置されていなかったが、広報紙の発行、あじさいネットの活用、FAX通信の実施やマスコミの活用により、市民への広報活動に努めた。

しかし、大量の情報需要への即時対応と時系列に変化する被災者ニーズにあったきめ細かな情報伝達が問題となった。

情報収集・伝達の課題として、同報無線の整備等災害時情報システムの構築、情報収集システムの確立等があげられる。また、災害広報の課題として、マスコミ機関との連携、避難所等救助拠点への情報伝達システムの整備、広報誌の充実、マルチメディア活用方策の検討等がある。さらに、今回の災害では津波は発生しなかったが、津波情報伝達システムも重要課題として検討する必要がある。

 

5.広域連携・応援要請

阪神淡路大震災では、被害状況の把握が遅れたことにより、迅速な応援要請に支障が生じ、また広域応援を受けた他自治体や関係機関の応援部隊の宿舎確保、食料、道案内等の対応に困難が生じた。また、多くの応援部隊が被災地に入ったが、その配備やオペレーションは混乱し、さらに、海外からの救助隊の対応にも混乱と戸惑いが生じた。

広域連携と応援要請の課題として、自衛隊、海上保安庁等関係機関への早期派遣要請システムの改善、各種広域応援要請システム、協定の改善、応援受入れ態勢の整備、国際救助隊等、海外部隊の受入れシステムの改善等があげられる。

 

6.救助・救急・医療体制

阪神淡路大震災における救助・救急・医療体制の問題点としては、救助・救急事象の把握や病院情報を的確に収集できずに救急体制に支障が生じたこと、また道路渋滞により、負傷者の搬送や薬品・医療機器の流通等に支障が生じ、さらに病院や診療所自体が被害を受けたことにより、大量の負傷者や病人を受入れる体制を整えることができず、医療拠点としての機能が十分に発揮することができなかったこと等があげられる。

他医療機関の応援体制については、全国から急遽応援に入った医療班等の受入れや配備に問題が生じ、混乱を招く結果となった。

また、避難生活を強いられた被災者や家族を亡くされた遺族等のメンタルケア需要が増大し、災害時におけるメンタルケアのあり方が問われた。

救助・救急・医療体制の課題として、消防、医療機関、日赤等の協力体制による災害時医療システムの構築、災害時救急医療情報システムの構築、医薬品・医療機器の備蓄、調達システムの構築、災害時道路規制の徹底、広域医療体制の整

 

 

 

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