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○ 大規模な災害発生が報道されると,国内・国外から多くの善意の支援申し入れが寄せられるが国,地方公共団体及び関係団体は,適切に対応する。

1 ボランティアの受入れ

○ 国,地方公共団体及び関係団体は,相互に協力し,ボランティアに対する被災地のニーズの把握に努めるとともに,ボランティアの受付,調整等その受入れ体制を確保するよう努めるものとする。ボランティアの受入れに際して,老人介護や外国人との会話力等ボランティアの技能等が効果的に活かされるよう配慮するとともに,必要に応じてボランティアの活動拠点を提供する等,ボランティアの活動の円滑な実施が図られるよう支援に努めるものとする。

(略)

防災上ボランティア活動が持つ意義等について見てみよう。

(「平成9年版 防災白書」)

 

2.防災とボランティア

2-1 災害時におけるボランティア活動と自主的な防災活動

我が国の災害対策においては,災害の予防,発災後の応急対策及び復旧等の分野ごとに,災害対策基本法等の法令に定められた防災機関がそれぞれの防災計画に定められた対策を実施することとなっているが,大規模な災害が発生した場合を考えると,行政機関のみで十分な対策を講ずるには困難な面がある。被災者一人ひとりにきめ細かな配慮をするためには,柔軟かつ機動的なボランティアの役割が不可欠である。

災害時におけるボランティア活動としては,これまでも雲仙岳噴火災害や北海道南西沖地震の際のもの等が知られていたところであるが,阪神・淡路大震災での活躍ぶりにより,ボランティア活動に対する関心が国民的な高まりを見せるに至った。

また,平素から地域住民が連帯し,防災用資機材を備蓄したり,防災訓練を積み重ねたりするなど地域ぐるみの防災体制を確立しておくことも,災害の被害を最小限に食い止めるうえで極めて重要である。阪神・淡路大震災においても,地域住民が協力し合って初期消火を行い,延焼を防止した事例や, 救助活動を行い多くの人命を救った事例等が数多く見られ,地域における自主防災活動の重要性が改めて認識されたところである。

2-2 災害時におけるボランティア活動環境の整備

国や地方公共団体,関係諸団体等においては,これまでも災害時におけるボランティアの活用方策等が検討され,ボランティア保険の保険料を負担する等災害時におけるボランティアの活動環境の整備のための種々の施策が講じられてきたところである。

平成7年7月に改訂された防災基本計画には,災害時において重要な役割を果たすボランティア活動が円滑に行われるより,「防災ボランティア活動の環境整備」及び「ボランティアの受入れ」に関する項目が設けられた。また,同年9月の「防災問題懇談会提言」を受けて12月には災害対策基本法が改正され,国及び地方公共団体が「ボランティアによる防災活動の環境の整備に関する事項」の実施に努めなければならないことが法律上明確に規定された。

これにより,国や地方公共団体は,従来からの施策を継続するとともに,新たな施策を打ち出すなど,ボランティアの活動環境のより一層の整備に努めているところである。

たとえば,公共土木施設の管理,点検等に長期間携わってきた人を防災エキスパートとしてあらかじめ登録しておき,大規模災害時の公共土木施設の被害情報の収集と施設管理者への連絡等をボランティアとして行う「防災エキスパート制度」や,土砂災害を防ぐための諸活動を行う「砂防ボランティア制度」が設けられている。また,非常災害が起こった場合にボランティア団体活動を支援するため,郵便振替口座の預り金をボランティア団体等へ寄付することを郵政大臣に委託できる制度が創設された。

地方公共団体においても,兵庫県が,県内外で大規模自然災害,大規模事故等が発生した際,緊急に救援活動に赴く兵庫県災害救援専門ボランティア(「HEART-PHOENIX」―ひょうご・フェニックス救援隊)の登録・派遣制度を発足させたのをはじめ各種の取り組みが行われている。

その他,地域防災計画中の位置づけの明確化,受入れ窓口の整備,事前登録制度の整備,講習会の実施,ボランティア保険の保険料援助等の施策が講じられている。

また,自主防災活動に対しても,平成7年度に自主防災活動用資機材の整備を促進するための国庫補助制度が創設され,地域における自主防災組織等の活動の一層の推進を図っているほか,活動拠点づくりのため,防災まちづ

 

 

 

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