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蒸気の毒性は、燃料の揮発性を考慮し、評価されるべきである。例えば、ガソリンはメタノールより更に高い時間加重平均許容濃度(300ppm)を持つ一方で、それはメタノールより約2.3倍高い蒸気圧力をもつほど揮発性の高いものである。従って、これらの燃料の双方を前にして働く作業員は、メタノール蒸気よりガソリン蒸気により多く曝されることになる。

1,000ppmの暴露時間限界(PEL)を持つプロパンのように非常に揮発性の高い燃料に関しても同様の関係がある。プロパンは、一般により低い爆発限界の5分の1の濃度が感知できる。すなわち、約4,200ppmであるように臭いをつけることが求められる。従って、プロパンの漏出は、かなり爆発限界を下回っており、臭いによって感知できないものの、まだOSHAの暴露時間限界(PEL)値に達することができる濃度の範囲にあるような、プロパンの濃度につながるだろう。対照的に、ガソリンは、0.2ppmの濃度の臭いによって感知できる。従って、人の健康に対する同じ種類の危険性は、ガソリンには適用されない。

 

メタノールの臭いの感知可能性に関する報告されたデータは、引用した文献では100ppmからほぼ6,000ppmまでの値で一定していない。2,000pp冊の平均値が適正と仮定すると、人はTLV―TWAよりかなり上の濃度にさらされることになろう。

 

これらの状況の全てにおいて、人が長時間自動車用代替燃料の蒸気にさらされる可能性がある区域で、ガス感知器(固定した或いは携帯用の)を使うことが可能である。これは、あらゆる特別な自動車用代替燃料と関連した、健康に対する危険性を緩和するための効果的な方法であろう。

 

バイオディーゼルは、植物油のような外観および臭いのために人が食用としてしまうという可能性がある。 人体は、バイオディーゼルをその本来の成分、例えば、大豆油やメタノールなどに分解するであろう。 これは、摂取された量に応じて、メタノール毒性の可能性を高める。

 

3.4.5 環境に関する危険性の評価

 

自動車用代替燃料の流出および漏出は、長期の環境上の損傷にはつながらないだろう。常温・常圧でガス状ではない、個々の自動車用代替燃料に関する潜在的な環境への危険性の検討において、液体自動車用代替燃料の全てが、かなり短い期間の間(すなわち、数ヶ月あるいはそれ以下の期間)に、分解することを示している。主な関心は、自動車用液体代替燃料があらゆる水道あるいは排水システムに入ることを回避すべきであるということである。水質の毒性に関する考慮は別として、引火性の液体が、蒸気が蓄積しやすいこ地下下水道のような場所に入った状況で発生する、潜在的な火災/爆発という、安全性に関する危険性が実際にある。

 

この上記の問題は、水に溶解するアルコール(メタノールおよびエタノール)について特に顕著である。いったん、そのようなアルコール自動車用代替燃料が水と混ざった場合、それらを分離するための簡単かつ低コストの方法はない。固定した設備の状況において、自動車用代替燃料の流出が設備の他の全ての機能あるいは近隣の他の部分を危険にさらさないこと、およびそれらがいかなる排水システムにも侵入しないということを保証することが必要である。これは、様々な形の流出を制御できるように設計された貯水システム(例えば、堤防)により達成できる 大量輸送中は、流出は、水道や下水システムに隣接する区域を含め、あらゆる場所で起こる可能性がある。

 

 

 

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