日本財団 図書館


3.3.6.2 安全性に関する事項

 

(a)火災の危険性に影響を与える一般的特性

 

大豆油メチルエステル(SME)は、他の全ての自動車用代替燃料の中で、非常に安全であるディーゼルよりも更に安全な燃料である。例えば、大豆油メチルエステルの引火点は、N02ディーゼル燃料の引火点が約摂氏73度(華氏160度)であるのに比べると、摂氏218度(華氏425度)である。同じくその蒸気圧力は、摂氏72度で1.3x10-5kPa未満の非常に低いものである。従って、BD‐20を製造するために大豆油メチルエステルが石油ディーゼルと混ぜ合わせられるとき、混合物の結果的な引火点は摂氏118度であり、これは石油ディーゼル単独の数値よりまだ上である。

純粋(100%)バイオディーゼルによる過去の経験から、ある種のゴムおよびプラスチックはバイオディーゼルに耐性がないが、金属は耐性があることがわかっている。レポートは、SBR、ブタジエン、イソプレン、ハイパロン、シリコン、および多硫化物のような他のエラストマーが、純粋バイオディーゼルに抵抗力がなかった一方で、ニトリルゴムおよびポリウレタン・ベースの合成物が受容しがたい劣化を示したことを示している。受容できる代替材料は、フッ素‐ゴム(ビトンA)およびホリプロピレン‐およびポリエチレン・ベースのプラスティックを含む。このため、シール、取付金具およびホースの劣化を回避するための材料の選択は、バイオディーゼル用の装置にとつて重要である。

 

バイオディーゼルの特異な物理的特性は、空中で酸化するいくつかの植物油およびメチルエステルのような非常に不飽和な材料にみられる自然発火の可能性である。これは、隅に積み重ねた状態のような、酸化により発生した熱を逃す道がない閉じ込められた場所に置かれた古着に関する「油を含んだ古着」問題として知られている 更に高い温度は、古着の山がくすぶり、燃え始めるまで、より多くの熱を発生させる酸化プロセスを加速する。油を染ませた古着や通常の軽油で使用されるフィルターのような他の材料は自然発火の規制がないので、事業所の貯蔵所や整備場で働く人々に自然発火の可能性につき注意を促すことが必要であろう。これは、重大な問題ではなく、油の染みた古着やその他油の付いた可燃性材料を密閉した金属缶に格納することで解決される。

 

(b)輸送中の火災の危険性

 

純粋バイオディーゼルおよび混合物(BD‐20、BD‐30)の非常に低い揮発性および高い引火点温度のため、輸送中に特段の火災の危険性はない。あらゆる漏出または流出は、同じ条件の下でのディーゼルあるいはガソリンより引火の可能性が低い。シールおよび取付金具の劣化の問題を回避するために、バイオディーゼルに耐性がある材料が選択されるべきである。

 

(c)貯蔵所への荷下ろし中の火災の危険性

 

特段の火災に関する危険性はない。 荷下ろしに関する装置は、漏出の危険を回避するようバイオディーゼルを取扱えるように設計されるべきである。

 

(d)事業所での貯蔵中の火災の危険性

 

上述した自然発火の問題を除き、特段の火災に関する危険性はない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION