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在で、その中核としてのボランタリー団体は各分野で長い歴史と経験を有している。阪神・淡路大震災時に集合した大勢のボランティアのほとんどがボランタリー活動をさせてもらえなかったが、「欧米のボランタリー団体が保有しているようなボランタリー・リーダーがそこに不在だったため、せっかくのボランティアを活用できなかった。」(英国ボランタリー・センター調査研究部長)と評されているところである。

このようなわが国のボランタリー活動の未熟さは、最近行われているボランティアに関する諸調査にも明らかで、横浜市の市民意識調査「高齢化社会基礎調査」(1997年3月)を見ても、「地域活動やボランティア活動をしている」(したことがある)者は全体の6.7%にすぎず、イギリスの「この1年間にボランティアをした者は、フォーマルな団体を通しての者が全成人人口の50%を超え、インフォーマルな活動を含めると80%を超える」(英国ボランタリー・センター)とは比べようもない。わが国の地域社会には、欧米のような多種多様なボランタリー組織(団体)が無く、ボランティアをしたくてもほとんどの者は実現できないのが大きな原因でもある。また、わが国では、自治会・町内合活動をしている者が比較的多いが、こうした「義務・役割」活動は欧米では「自発・自己実現」を旨とするボランタリー活動とはみなされない。したがって、わが国で高齢者の参加率が高いといわれている地域活動が一概にボランタリー活動とは言えない点もある。

わが国でボランタリー活動が発展をみなかった原因としては、家族を中心とする地縁社会での相互扶助意識が強く、これを補足する形で公的サービスも提供されてきたこと、あるいは欧米のようなキリスト教による奉仕活動等宗教的社会活動が強調されてこなかったことが挙げられている。また、最近のわが国のボランタリー活動等非営利事業の研究では、わが国社会における規制の厳しさ(特に戦後における法人認可や寄付行為に関する規制)にあることも指摘されている。このような社会背景によって、わが国の非営利団体は公的サービスを補足するものであり、主として行政の側面支援者として公益法人認可を受け、国や自治体の外郭団体と称され、活動しているのが定型となっている。したがって、欧米の関係者には理解しがたい日本のNGOとなっている。しかし、これらの社会においては、情報化、規制緩和等も進み、人々の自己実現の追求も盛んになるため、人々はいわゆるヨコの繋がりが容易になり、様々な趣旨、目的の組織が生まれ易くなる。そして、その組織の目的が「他人の役に立つこと」であれば、ボランタリー組織(非営利団体)として活動し発展し

 

 

 

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