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また、今後在宅ケアが推進されるとしても、施設整備についてはある程度の規模の拡大が必要とされる。施設関係は2000年時点で整備される特別養護老人ホーム、老人保健施設、ショートステイ・ケアハウス等は合わせて75万人分弱で、高齢者100人当り3.36人分である。ちなみに、1993年から在宅介護を重視し施設の縮小化を図っているスウェーデンでは、ナーシングホーム、長期療養施設、サービスハウジング、等高齢者施設といえるものは高齢人口の約7%人分あり、この程度は必要とみなされている。わが国の場合これを補うものとして、福祉マンパワーと同様に、民間の非営利団体や企業による施設整備あるいは施設サービスの委託が期待されており、福祉産業の発展が望まれるところである。現在イギリス等では民間企業や非営利団体による施設運営等福祉ビジネスが盛んであり、自治体所有のナーシングホームでもボランタリー団体(非営利団体)や企業に運営委託(コントラクト:施設運営やサービス提供などの委託契約)している場合が多くなっている。公的サービスが主流のスウェーデンでも1995年頃からはこのコントラクト方式が施設運営とくに高齢者のグループホームの運営等で採用されはじめている。

わが国の場合、特別養護老人ホームをはじめ養護施設の運営については、主として社会福祉法人が運営する方式がとられている。また、当横浜市では、最近になってニーズが高まってきたグループホームについては、社会福祉法人だけでなく、市民団体や企業体による委託運営が試みられている。なお、高齢者グループホーム(8名程度の入居)の設置運営については、平成8年(1996)年度より、国もモデル事業(市委託料の助成)として採り上げている。

総合的社会福祉が高齢化とともに進展し、福祉サービスが公的サービスのみではなく、いわゆる「福祉ミックス」(福祉サービス供給方式の多様化)によってニーズ対応が社会的に図られ、供給の拡大化も進んでいくのが、今後の高齢化先進国一般の状況と考えられる。

 

2) 新しい社会セクター(ボランタリーセクター)の形成と発展

高齢化の進行や総合的社会福祉の進展に伴い人々の、社会活動は今後急速に活発化することが予測される。

すでに、わが国でも全国各地でその地域社会ニーズに根ざした様々なボランティア等社会活動が展開されつつあるが、しかし、その活動の多くは未だ趣味、余暇の範中の内容であり、社会的信頼度も低いのが現状である。

欧米においては、ボランタリー・セクターは社会セクターとして不可欠な存

 

 

 

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