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てゆくことが予想される。

今後高齢社会を展望するとき、福祉財政とくに少子化による次世代負担の限度、あるいは地域社会によっては人的社会的資源が制約される社会的条件の下で、行政が用意できる財源や資源のみでは、高齢者介護サービス等の維持向上が難しい状況に立ち到る場合もありうる。欧米ではこうした場合、臨機に対応できるのはボランタリー・セクターと考えられており、1980年以降のイギリスでは、行政の限られた予算で、行政に替ってボランタリー団体がナーシングホームの運営など多方面での高齢者福祉サービスを行うようになっている。しかも、ボランタリー団体はサービスの質を下げず、むしろ新しいサービスすら提供している。それはボランタリー団体が持つ専門性や募金活動そして事業協力者となるボランティア(有償、無償を含めた)によるものである。ボランタリー団体は社会事業のまさにクッション的役割も担っている。

わが国においても、ようやくNPO法が検討され、イギリス等のボランタリー・セクターの社会的役割や組織運営の手法について積極的に思索する人々が広い分野で増えており、個々人がやりたい(自発)ボランティア(自己実現)ができるボランタリー組織がわが国の社会に適した形態で多彩に存在する時代の到来が期待される。

 

 

 

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