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(5) 総合的社会福祉の進展と福祉マンパワー

 

1) 総合的社会福祉の進展と福祉マンパワー

世界に類をみないスピードで高齢化が進行しているため、その対応対策では遅れが目立つわが国ではあるが、高齢化の進行とともに人々の高齢化社会対応とりわけ福祉に関する知識と認識は急速かつ確実に高まってきている。また福祉に関する認識も、高齢者問題のみならず障害者、そして母子の福祉も併せた総合的社会福祉の観点からの「ノーマライズ」、「普遍主義」を標傍するまでに至っており、対応対策の実情について多くの人々が関心を抱いている。

今後21世紀を迎えた時点で、わが国の高齢化率はスウェーデンを超え世界最高の高齢先進国となる。そして、2000年時点で、ゴールドプランは終了し、介護保険制度も実施の段階に至る。厚生省推計(厚生白書等)によると、2000年時の保健医療・福祉関係のマンパワーは約346万人(保健医療関係者235万人、社会福祉関係者111万人)である(表2-2-3)。これは、2000年の労働力人口(労働省試算7,365万人、経済企画庁推計6,739万人)の約5%を占めることとなるが、2000年時の高齢人口は約2,070万人、高齢者100人当り16.6人であって、この比率はゴールドプランがスタートした前年(1989年)の約16人と大差がない。現在、関係専門家の多くは、福祉関係者がもう4〜50万人は必要とみており、省力化、効率化が図られたとしても、介護保険制度の実施もあり、今後さらにヘルパー等マンパワーの拡充が必要と推定している。但し、このようなヘルパー等マンパワーの社会的充足については、昨今の高齢化先進国の趨勢から、自治体が公的負担で採用する人材ではなく、むしろイギリス、ドイツ等にみるように民間の企業や非営利団体に属する人材となることが考えられている。

 

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