日本財団 図書館


2.2.2 航空機SARの現状

日本電気株式会社 宇宙技術部 技術課長 村田稔氏(平成8年11月15目)

 ・衛星SARに対し航空機SARのメリットは、回帰周期に左右されず任意にデータ取得が可能なことであり、シャドー部を飛行コース等を変えることでカバーできることである。また他の光学センサと比較すると、分解能が距離に依存しないため地表から離れるほど分解能の面では有利であり、波長の長いマイクロ波を用いれば大気の影響を受けないことである。

 ・NECSARは、民間の実験局としては国内で唯一データ取得可能な航空機SARであり、仕様はXバンド、周波数帯域幅50MHzで分解能は約5mである。国が有するものとしてはNASDA/CRLのGII搭載SARがある。

 ・海域での応用実績では海難捜索のためのアプリケーションを開発した。海域での実験ではSARデータ取得と同時にシートゥルーステータの取得が重要である。

 ・その他の応用実績ではインターフェロメトリからコンター作成のアプリケーションを開発済みであるが、精度評価をさらに進めるなど、実利用に向けた作業が必要である。

 ・今後の応用面では、SAR利用技術確立のために同一ターゲットに対し、パラメータ(入射角・偏波・周波数・分解能等)を変えてみる等の検討が必要である。

2.3 最新動向の整理

 近年発表されたSARを利用した海洋調査に関する論文や未発表の研究などの情報を、学会誌、インターネット検索などから得た。その結果を基に、本調査に関連する技術の最新動向をまとめた。

2.3.1 文献からの情報

 1995年11月にRADARSATが打ち上がったことにより、現在稼働しているSAR搭載衛星はJERS−1,ERS−1,ERS−2(1995年4月打ち上げ)、RADASATの4機となった。現在日本で受信している衛星はJERS−1,ERS−1のみであるが、1997年8月にはRADARSATの受信契約を結ぶことになっている。ERS−2に関しては、受信契約を結ぶ予定がないため、日本でデータを入手するのは難しい。また、データの配布はされていないが、シャトル搭載型レーダもSIR−Cまで終了している。
 将来的には、改良型合成開口レーダ(Advanced Synthetic Aperture Radar:ASAR)を搭載したENVISATが1998年末に欧州宇宙機関(European Space Agency:ESA)から打ち上げられる予定である。また、2001年には舳SDAで、オフナディア角が可変の合成開口レーダ(Phased Array type L−band Synthetic Aperture Radar:PALSAR)を搭載した衛星Advanced Land Observing Satellite(ALOS)の打ち上げを予定している。

 

 

 

前ページ  目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION