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船橋内の搭載計器としては新顔のERC表示装置が、いかに手放せないものになっているかがうかがえる。

 必ずしも表示装置だけの問題ではないかも知れないが、「レーダー映像とERCの海岸線を一致させる機能が十分でないまたはズレル」(8通)、「小縮尺表示の時、灯浮漂や物標記号の画面上のサイズが過大」(7通)であるなど表示上の不満もある。また、「海図を表示するのに時間がかかりすぎる・遅い」(4通)というハードウェアの基本的な性能上の不満もある。

(3)ERC

 ICカード購入枚数が4枚以下のユーザが70%を占めている。これは航行海域が限定された官庁船が大きく影響を与えている。他の船種(引き船/海難救助船)のなかでは、この時点で発売中のERC23種全部購入済みの船もあった。

 他のICカード購入で「計画がある」が30%で、やや少ない感じがする。大縮尺ERCの要望箇所は無記入が多い中で、東京湾、大阪湾、伊勢湾等の大港湾の記入が目立った。大縮尺ERC(1/5万)は、調査時点でまだ刊行されておらず利用方法や内容が理解されていなかったようである。

 追加してほしい情報として、「漁具等障害物」4通、「航路標識及び10m以浅の等深線・障害物」の各3通が主なものである。航路標識の要望があるが、小縮尺ERCを使用した場合、港内等では灯浮標が省略されている場合が多いのでできるだけ大縮尺のものを使用していただきたい。漁具等障害物は「定置網の場所(位置)の表示」を要望している。

特に「荒天避難や緊急入港、初入港等の際、定置網表示があれば安心して入港・投錨泊できる」との意見がある。航路標識については「浮漂の番号や灯質等も選択表示できれば良い」との意見が多い。特に「関門海峡においては灯浮標が非常に多いので是非実現してほしい」という意見がある。深部等深線(100〜2,000m)の要望については漁業関係者からの意見と考えられる。本件に関して、「R-260南方諸島」のERC1種だけであるが、すでに200,500,1,000mの等深線が付加されている。9年3月には試験的に「R-300東京湾及び付近」についても沖合に深部等深線を付加し試験的にメーカーや海事関係者等に配布した。

 他の媒体による提供は関心が薄く、1通を除き無記入であった。また、アンケートとはいえ、若干PRに近い設問である「1日版と引き換えに更新版を購入する際、20%の割引制度があること、及び地名表示、陸地塗りつぶし機能を知っているか」との設問に対してr知っている」はわずか12%しかなく一層のPRが重要であることを知らされた。

 さて、アンケート調査で最も重要な「ERCデータヘの不満」については海岸線の精度不足が6通あり、中でもレーダ映像と比較した上のご意見であろうが「港内の地形(人工岸壁、

 

 

 

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