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防波堤等)や狭水道、海峡は海図そっくりに正確に表示してほしい」という意見が多かった。ユーザーは1/20万等の小縮尺ERCを使用しているのであろうが、今後はレーダ映像で評価を受ける可能性があることから小縮尺ERCといえども港内等の海岸地形についは部分的に大縮尺の海図データを採用することが肝要である。

次に多い地名表示と陸地の色塗り不可(4通)の指摘であるが、確かに従来のERCでは不可能であった。8年4月末以降発行の更新版及び8年度発行の新版(R-400番台)を新型のERC表示装置(または、改造機種)で使用すれば実現できる。データヘの不満ではないが「ERCの高価格」が4通、「港内の5mの等深線や浅瀬情報を増やしてほしい」が3通ある。後者に関しては既述したとおり、瀬戸内海周辺の主要港について1/5万シリーズで実現し、他区域についても要望が多ければ同シリーズを刊行する予定である。

(4)利便性・安全性について

 ユーザーがこのシステムを使用するようになってからどのような点で利便性や安全性を認識したか、経験したかを問う設問である。自動船位プロットの分類では、「濃霧時、夜間の表示海図の上で、自船の位置確認が迅速・容易にでき安心した」という意見が6通あり、次に「海峡、狭水道、浅所海域の通過が容易になった」との意見があり、いずれも水面上や水面下の見えないものへの恐怖感を緩和し安全運航に役だっていることがうかがえる。

特に「濃霧時、船舶ふくそう海域で避航動作を繰り返しているうち自船の位置が定かで無くなったとき、この装置が非常に役立った」との意見が寄せられている。航路標識関連では「ERC表示画面を見て実際の灯浮漂の位置確認が容易」という意見が4通あり、そのうちの1通には、「大雨等でレーダの映りが悪くなっても入港時に灯浮漂や灯台、防波堤が表示されているため安心して入港できた」という記述がある。

一方、省力化関連では「チャートワーク軽減の結果、見張りに専念できる」が5通あり、特に「このシステムを装備しない船に比べて、航海当直は1/3くらい楽である」との意見が寄せられている。その他の分類で、「目的地である投錨地を手で入力することにより船の誘導が正確にできる」、「他船の動静把握が容易」・「沈船調査に非常に役立った」という意見があった。逆に「あまりにも便利なためこのシステムに頼り過ぎ、乗組員の航海術の低下が心配」(1通)という意見も寄せられた。

 

 

 

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