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第2部 調査結果の分析

?T 就業・雇用数の動向

景気は緩やかながら回復軌道に乗りつつあるといわれるが、雇用は依然として厳しい状況が続いていて、完全失業率は平成8年5・6月連続で3.5%という史上最悪水準を記録しました。その後は若干低下して最悪期は過ぎたとみる向きもありますが、失業率の改善は非常用労働者の増加によるもので、常用労働者は減少の一途を辿っているのではないかともいわれている状況にあります。そこで、昨年に引き続いて本年も就業・雇用数等の動向から、まず、調査することにしました。
1. 常用雇用者数の増減状況

(1) 過去1年間の常用雇用者数の増減状況〔第29・30表参照〕
首題について一般的な動きとしては、毎月勤労統計の「常用雇用指数」(製造業・事業所規模30人以上)では、平成7年を100として平成8年8月では97.3となっており、「有効求人倍率」(除新学卒・季節調整済み)も同年9月でも0.71倍と現在においても依然として雇用は厳しい状況が続いている。当研究所の昨年の調査では、過去1年間に常用雇用者数を「減らした」と回答した企業の割合は51.7%(379社中196社)と半数を超える厳しい状況であったが、今回の調査では過去1年間に常用雇用者数を「減らした」と回答した企業の割合は58.1%(回答企業308社中179社)となって、昨年調査よりさらに6.4%上回る結果となった。
一方、「増やした」企業は8.8%と昨年調査より4.9%減っており、「おおむね変わらない」企業も33.1%(同1.5%減)となっていて、到底常用雇用者の削減の嵐は一息ついた、といえる状況ではなく、未だ未だ常用雇用者にとっては厳しい情勢が続いている。
なお、昨年調査した「今後の方向」と今回調査した過去1年間の実績とを対比してみると、昨年の「圧縮必要」の58.6%に対し今回「減らした」は58.1%、昨年の「変わらない方向」の32.7%に対し今回の「おおむね変わらない」は33.1%、また昨年の「増やす方向」の8.7%に対し今回「増やした」は8.8%とほとんど正確に一致していることは、この調査が安定した結果を示すものとなっている。そして、いう迄もないことながら、この点は企業の回答者の真摯な回答に対して調査する側として誠に感謝に堪えないところでもある。
ア. 企業規模別
これを規模別にみると、過去1年間に常用雇用者数を「減らした」と回答した企業は「3・4千人台」の企業が69%(昨年調査より14%増)、「5千人以上」が68%(同3%増)と昨年を上回る割合となっており、大きな企業ほど常用雇用者を削減した割合が高く、「1・2千人台」でも58%(同6%増)と5割を超えているが、「千人未満」は40%(同1%増)であった。
一方、「増やした」と回答した企業は、1割を超えているのは「3・4千人台」の11%(同7%減)だけで、他はすべて1割未満となっている。また、「おおむね変わらない」との回答

 

 

 

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