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拮抗したものとなった。なお、これを端的に示すために、調査では幅をもって増減の大きさを回答して貰ったものを中間値で代表させ(10%以上は12.5%と仮定して)企業全体の人件費の増減比率を計算してみると、(一昨年度の場合は(+)1.9%であったが)昨年度の(−)0.4%に対してこの1年間は(−)0.3%となり、企業の人件費総額はこの1年間も全体としてやはり変化がなかったという結果となった。これを要するに国民所得の大宗としての給与所得は昨年に引き続いてこの1年間も全体としてほとんど変化しなかったことになり、この面からも経済全体の成長はほとんどなかったことが知られた。
2. 人件費総額増減の理由〔第9表参照〕

人件費総額が増減した理由を増加した面と減少した面のそれぞれについて尋ねてみたところ、「減少した」理由を回答した企業は96社(前回調査では138社)、「増加した」理由を回答した企業は103社(同145社)とほぼ同数で昨年の回答状況と変わっていない。
まず、「減少した」理由は−冒頭に報告した過去1年間の常用雇用者数の全体的な減少方向を如実に反映して−「従業員の減少による」が89%(前回調査より5%増)と殆どの企業で挙げている。次いで「賞与の切り下げによる部分が多い」が35%(前回より1%減)、「残業時間の減少による部分が多い」が17%(前回より22%減)であった。一方、「増加した」理由としては「ベアによる部分が多い」が78%(同10%増)で圧倒的に高く、次いで「従業員の増加」、「退職給与経費の増加」及び「残業時間の増加」が2割台の同様な回答割合となっていた。

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3. 給与項目別の増減状況

(1) 過去1年間の給与項目別増減状況〔第10表参照〕
ア. 昨年に引き続き、人件費総額のうち、「給与」に限り、その項目の増減状況を尋ねたところ、「基本給」については、過去1年間で「増加した」企業割合が49.2%(昨年調査結果より2.0%減)であったのに対して、「おおむね変わらない」が35.0%(同2.6%減)、「減少した」が15.8%(同6.2%増)で、増減差し引きは33.4%の増(前年は41.6%の増)となったものの、「減少した」と「おおむね変わらない」を合わせると50.8%(前年は47.2%)と過半数となり、前年

 

 

 

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