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3. 会議報告(かいぎほうこく):5)交流会報告(こうりゅうかいほうこく)
顔(かお)を見ながら(みながら)語り合う(かたりあう)大切さ(たいせつさ)
中林重祐(なかばやしじゅうすけ)
 
・・日本(にほん)とメキシコの交流会(こうりゅうかい)・・
 57国(こく)、1,400名(めい)参加(さんか)という世界大会(せかいたいかい)では、聞き手(ききて)に回る(まわる)ことが主(おも)になりますが、開催国(かいさいこく)メキシコの人々(ひとびと)と直接(ちょくせつ)話し合える(はなしあえる)機会(きかい)を設けて(もうけて)くださったことに感謝(かんしゃ)し、また期待(きたい)しました。
 藤原理事長(ふじわらりじちょう)の挨拶(あいさつ)のあと、日本側(にほんがわ)の本人参加(ほんにんさんか)の人(ひと)たちが紹介(しょうかい)されましたが、現地在住(げんちざいじゅう)の司会(しかい)の方(かた)は浴衣姿(ゆかたすがた)で登場(とうじょう)、メキシコの人(ひと)たちの大きな(おおきな)拍手(はくしゅ)を受け(うけ)、炭坑節(たんこうぶし)の踊り(おどり)を披露(ひろう)する一場面(いちばめん)もあり、会(かい)は最初(さいしょ)から和やか(なごやか)な雰囲気(ふんいき)に包まれ(つつまれ)ました。
 スペイン語(ご)を解する(かいする)現地(げんち)の日本人二人(にほんじんふたり)が通訳(つうやく)を買って出て(かってでて)くれたのですが、通訳(つうやく)しないで自分(じぶん)たちで喋り(しゃべり)だす場面(ばめん)もあり、笑い(わらい)に包まれ(つつまれ)ました。
 会(かい)は交互(こうご)に質問(しつもん)しあうかたちで進め(すすめ)られましたが、日本側(にほんがわ)からの質問(しつもん)に対し(たいし)、われもわれもと多くの(おおくの)手が上がり(てがあがり)、通訳(つうやく)の関係(かんけい)もあって時間(じかん)はどんどん過ぎ去り(すぎさり)ました。
 日本側(にほんがわ)からは、メキシコの作業所(さぎょうじょ)やグループホームの様子(ようす)、また本人会(ほんにんかい)の組織(そしき)などについて質問(しつもん)がなされ、「ありはする」との回答(かいとう)でしたが、残念(ざんねん)ながらくわしい事(こと)を尋ねる(たずねる)時間(じかん)はありませんでした。
 質問(しつもん)を希望(きぼう)する手(て)、回答(かいとう)を望む(のぞむ)手(て)が次々(つぎつぎ)と挙がり(あがり)、積極的(せっきょくてき)な対話(たいわ)の場(ば)となりました。
 ここでも私(わたし)は、かつての関取(せきとり)・小錦(こにしき)を思わせる(おもわせる)ような堂々(どうどう)たる体躯(たいく)のメキシコ女性(じょせい)に挟まれて(はさまれて)小さく(ちいさく)なって座って(すわって)いましたが、大会初日(たいかいしょにち)から気に(きに)なっていたことを尋ね(たずね)ました。
 「全体会場(ぜんたいかいじょう)の参加者(さんかしゃ)を見て(みて)も、また壇上(だんじょう)の司会者(しかいしゃ)や発表者(はっぴょうしゃ)を見て(みて)も、多く(おおく)が女性(じょせい)です。メキシコ女性(じょせい)のパワーに圧倒(あっとう)される感じ(かんじ)です。
 
たくましいメキシコの女性(じょせい)たち
 
 そこでお尋ね(たずね)ですが、あなた方(かた)の連れ合い(つれあい)、或いは(あるいは)父親(ちちおや)、つまり男性(だんせい)の障害者問題(しょうがいしゃもんだい)に対する(たいする)姿勢(しせい)はどうなのでしょうか」と。
 何人(なんにん)もの手(て)が挙がり(あがり)ました。夫(おっと)が弁護士(べんごし)という女性(じょせい)は、よく協力(きょうりょく)してもらえますと。いま一人(ひとり)のお話(はなし)が印象(いんしょう)に残り(のこり)ました、
 「主人(しゅじん)は協力(きょうりょく)したいと言って(いって)います。しかし、毎朝起きる(まいあさおきる)とその日(ひ)の仕事探し(しごとさがし)に出かけ(でかけ)ねばなりません」と。
 似た(にた)ような話(はなし)を後日(ごじつ)、メキシコシティでも聞き(きき)ましたが、厳しい(きびしい)生活(せいかつ)の一面(いちめん)がうかがえました。
 国連関係(こくれんかんけい)の統計(とういけい)では、メキシコは中所得(ちゅうしょとく)の国(くに)として分類(ぶんるい)されています。だが、国内(こくない)での貧富(ひんぷ)の格差(かくさ)が非常に(ひじょうに)大きい(おおきい)ことでも有名(ゆうめい)です。
 パナマ大統領夫人(だいとうりょうふじん)の「貧困(ひんこん)は差別(さべつ)と排除(はいじょ)の落とし子(おとしご)である」という言葉(ことば)が頭(あたま)をよぎりました。
 この会(かい)に参加(さんか)したくてもできないメキシコの人(ひと)たちのことを思わずに(おもわずに)おれませんでした。
 交流会(こうりゅうかい)ではメキシコの本人側(ほんにんがわ)も大活躍(だいかつやく)で、テコンドの妙技(みょうぎ)を披露(ひろう)してくれる少年(しょうねん)、「死者の日(ししゃのひ)」(日本(にほん)のお盆(ぼん)に当たる(あたる)ようです)の仮装姿(かそうすがた)で顔(かお)をペインティングした若者(わかもの)たちの歌(うた)と、友好(ゆうこう)ムードに満ち溢れた(みちあふれた)会(かい)は、あっという間に(まに)閉会(へいかい)のときを迎え(むかえ)ました。
 
仮装(かそう)をしたメキシコ本人参加者(ほんにんさんかしゃ)たちと
 
 世界大会(せかいたいかい)の合間(あいま)に、二カ国(にかこく)の会(かい)を開く(ひらく)のは多く(おおく)の制約(せいやく)があるでしょうが「相互(そうご)に顔(かお)を見ながら(みながら)笑顔(えがお)と拍手(はくしゅ)で過ごす(すごす)時間(じかん)が持てた(もてた)」こと自体(じたい)に意味(いみ)があったのではないでしょうか。
 藤原理事長(ふじわらりじちょう)が私(わたし)の年齢(ねんれい)を伝えた(つたえた)らしく、数名(すうめい)のメキシコ女性(じょせい)に「高齢(こうれい)の身(み)でよくぞメキシコまで」と握手(あくしゅ)を求め(もとめ)られました。
 翌朝出会った(よくあさであった)ときに「ブエノス ディアス(おはようございます)」と先方(せんぽう)から挨拶(あいさつ)してくれたのもうれしい一つ(ひとつ)でした。
 (人間(にんげん)を信じ(しんじ)たい、信じ合い(しんじあい)たい)という気持ち(きもち)になりました。
 (追記(ついき)・盗難事件(とうなんじけん)の多い(おおい)メキシコと言われ(いわれ)ますが、自分(じぶん)の不注意(ふちゅうい)で置き忘れた(おきわすれた)カメラが、メキシコ女性(じょせい)たちの手(て)で無事(ぶじ)戻って(もどって)きました)
 
日本(にほん)メキシコ交流会(こうりゅうかい)!
ラグーナ自治大学(じちだいがく)(Universidad Autonoma de La Laguna)日本語講師(にほんごこうし)
武藤正浩(むとうまさひろ)
 
 日本(にほん)とメキシコの交流会(こうりゅうかい)をしようと企画(きかく)をしていましたが、メキシコ側(がわ)と話して(はなして)日時(にちじ)と場所(ばしょ)が決まった(きまった)のは、この大会(たいかい)の初日(しょにち)でした。開催(かいさい)は翌日(よくじつ)になりました。決まったら(きまったら)、宣伝(せんでん)です。ところがメキシコの人(ひと)たちには30分(ぷん)遅れた(おくれた)時間(じかん)が伝わって(つたわって)いました。さらに場所(ばしょ)も変更(へんこう)になりました。これでみんな集まって(あつまって)くれるのかなあ・・・と不安(ふあん)が募り(つのり)ます。ところが、交流会(こうりゅうかい)の開催前(かいさいまえ)には、メキシコの人(ひと)が作って(つくって)くれた案内(あんない)の紙(かみ)が何箇所(なんかしょ)かに貼り出されて(はりだされて)いました。ありがたいことです。
 いよいよ大会(たいかい)2日目(ふつかめ)の夕方6時(ゆうがたろくじ)から、日本(にほん)とメキシコの本人(ほんにん)、親(おや)、家族(かぞく)、支援者(しえんしゃ)たちの交流会(こうりゅうかい)が開催(かいさい)されました。日本(にほん)の方(かた)はほとんどが参加(さんか)してくださり、メキシコからも多く(おおく)の人(ひと)が参加(さんか)してくれました。声(こえ)をかけたメキシコ人(じん)もたくさん集まって(あつまって)くれてほんとうにすごい数(かず)でした。150人(にん)だったでしょうか。ポーランドの方(かた)も飛び入り(とびいり)参加(さんか)です。
 交流会(こうりゅうかい)はメキシコ側(がわ)、日本側(にほんがわ)から一人(ひとり)ずつ質問(しつもん)や意見(いけん)を述べる(のべる)という形(かたち)で行い(おこない)ました。日本(にほん)からは「作業所(さぎょうじょ)、グループホーム、本人会(ほんにんかい)はあるか、男性(だんせい)の家庭(かてい)での協力(きょうりょく)はあるか」などの質問(しつもん)がありました。特徴(とくちょう)は異なる(ことなる)のでしょうが、いずれもあるというメキシコの答え(こたえ)でした。日本(にほん)の本人側(ほんにんがわ)からは写真(しゃしん)を使った(つかった)職場(しょくば)や生活(せいかつ)の場(ば)の紹介(しょうかい)もありました。事前準備(じぜんじゅんび)も万全(ばんぜん)で、すばらしい発表(はっぴょう)でした。メキシコ側(がわ)からは特技(とくぎ)のテコンドーを披露(ひろう)してくれた方(かた)や、皆(みな)でメキシコの有名(ゆうめい)な歌(うた)を歌って(うたって)もくれました。この会(かい)には、正式(せいしき)な通訳(つうやく)はいなく、スペイン語(ご)の得意(とくい)な日本(にほん)の方(かた)が二人(ふたり)協力(きょうりょく)してくれました。様々な(さまざまな)立場(たちば)の人(ひと)たちが和気(わき)あいあいと過ごした(すごした)あたたかい手作り(てづくり)の会(かい)になったと思い(おもい)ます。とても楽しく(たのしく)過ごし(そごし)、予定(よてい)の1時間30分(いちじかんさんじゅっぷん)があっという間(ま)に過ぎて(すぎて)しまいました。全員(ぜんいん)の方(かた)が発言(はつげん)や発表(はっぴょう)、特技(とくぎ)の披露(ひろう)などの表現(ひょうげん)をすることはできませんでしたが、交流会後(こうりゅうかいご)、日本(にほん)の側(がわ)からもメキシコの側(がわ)からも多く(おおく)の方(かた)から「よかった」と言って(いって)もらいました。こういう機会(きかい)を通じて(つうじて)、他の国(ほかのくに)の様子(ようす)を知ったり(しったり)、少しずつ(すこしずつ)世界(せかい)に仲間(なかま)が増えて(ふえて)いくのは素敵(すてき)なことだと思い(おもい)ます。
 
 
 
 
 
 
交流(こうりゅう)イベント
「国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)アジア太平洋(たいへいよう)ミーティング」報告(ほうこく)
国際育成会連盟理事(こくさいいくせいかいれんめいりじ) 全日本(ぜんにほん)手(て)をつなぐ育成会国際活動委員長(いくせいかいこくさいかつどういいんちょう)
長瀬 修(ながせ おさむ)
 
 2006年(ねん)11月(がつ)9日(か)(木(もく))午後(ごご)5時半(ごじはん)から、世界会議(せかいかいぎ)に出席中(しゅっせきちゅう)のアジア太平洋(たいへいよう)の国際育成会連盟関係者(こくさいいくせいかいれんめいかんけいしゃ)が会合(かいごう)を開き(ひらき)ました。呼び(よび)かけたのは、国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)の理事(りじ)の長瀬(ながせ)です。出席(しゅっせき)したのは、日本(にほん)の育成会(いくせいかい)のほか、ニュージーランド・オーストラリア・台湾(たいわん)からの国際育成会連盟組織(こくさいいくせいかいれんめいそしき)のメンバーと香港(ほんこん)のピープルファーストのメンバーでした。
 会合(かいごう)では、国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)の6つの委員会(いいんかい)への代表委員(だいひょういいん)を次(つぎ)のように推薦(すいせん)しました。
 「国連(こくれん)や他機関(たきかん)との協力委員会(きょうりょくいいんかい)」(ロバート・マーティン:ニュージーランド)、「財政(ざいせい)・会計監査委員会(かいけいかんさいいんかい)」(ラルフ・ジョーンズ:ニュージーランド)、「総務委員会(そうむいいんかい)」(中国障害者連合会(ちゅうごくしょうがいしゃれんごうかい)へ推薦(すいせん)を依頼(いらい)する。なお、委員長(いいんちょう)は、国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)の事務総長(じむそうちょう)としてのラルフ・ジョーンズ)、「地域的協力(ちいきてききょうりょく)」(長瀬修(ながせおさむ):日本(にほん))、広報(こうほう)(JPガドカリ:インド)、「国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)への専門家(せんもんか)の関与(かんよ)」(長瀬修(ながせおさむ):日本(にほん))
 また、会合(かいごう)では、以下(いか)に省略(しょうりゃく)して紹介(しょうかい)するアジア太平洋地域(たいへいようちいき)としての活動案(かつどうあん)に合意(ごうい)が得られ(えられ)ました。
 「国際育成会連盟(こくさいいくせいかいれんめい)アジア太平洋活動計画(たいへいようかつどうけいかく)」
1. 優先活動(ゆうせんかつどう)
●アジア太平洋地区(たいへいようちく)の会員数拡大(かいいんすうかくだい)
●メーリングリストによる情報共有(じょうほうきょうゆう)
●親の会(おやのかい)の活性化(かっせいか)
●開発(かいはつ)と貧困削減(ひんこんさくげん)
●セルフ・アドボカシーの促進(そくしん)
2. 組織上(そしきじょう)の問題(もんだい)
 アジア太平洋障害者(たいへいようしょうがいしゃ)フォーラム(APDF)およびESCAP(国連(こくれん)アジア太平洋経済社会委員会(たいへいようけいざいしゃかいいいんかい))との連携(れんけい)
 小地域別(しょうちいきべつ)主導(しゅどう)メンバー:北東(ほくとう)アジア地区(ちく)=日本(にほん);東南(とうなん)アジア地区(ちく)=タイ;南(みなみ)アジア地区(ちく)=インド;太平洋地区(たいへいようちく)=ニュージーランド;
3. フォローアップの活動(かつどう)
●メーリングリストによる交流(こうりゅう)
●以下(いか)のような会議(かいぎ)との関連(かんれん)における協議(きょうぎ)
(a)2006年(ねん)11月(がつ)のメキシコ、アカプルコでの国際育成会連盟世界会議(こくさいいくせいかいれんめいせかいかいぎ)
(b)2007年(ねん)9月(がつ)のESCAP琵琶湖(びわこ)ミレニアムフレームワークの評価会議(ひょうかかいぎ)
(c)2007年(ねん)I1月(がつ)の台湾(たいわん)のアジア精神遅滞会議(せいしんちたいかいぎ)(AFMR)


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