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★★★メキシコ大会(たいかい)会議短信(かいぎたんしん)(第(だい)2報(ほう))11月(がつ)8日(か)本会議(ほんかいぎ)★★★
ことば・ことば・ことば・・・
 いよいよ本会議(ほんかいぎ)が始まり(はじまり)ました。
 貧困(ひんこん)と知的障害(ちてきしょうがい)。障害者権利条約(しょうがいしゃけんりじょうやく)。親(おや)の会(かい)の役割(やくわり)。政府(せいふ)の役割(やくわり)・・・。「どうなる?」という他人(たにん)任せ(まかせ)ではなく、「こうしよう!」というパワフルで、積極的(せっきょくてき)な発言(はつげん)があいつぎました。
 朝(あさ)から夜(よる)まで、まさに、ことば・ことば・ことば・・・です。どのことばのうしろにも、多く(おおく)の日本人(にほんじん)が自覚(じかく)しきれていない、孤立(こりつ)する人々(ひとびと)への責任意識(せきにんいしき)と、高い(たかい)問題意識(もんだいいしき)があり、心(こころ)の水平線(すいへいせん)をぐっと広げ(ひろげ)させられた一日(いちにち)でした。印象(いんしょう)に残る(のこる)ことばを集めて(あつめて)みました。
 
AM全体会場(ぜんたいかいじょう)「貧困(ひんこん)と障害(しょうがい)について家族(かぞく)が教え(おしえ)てくれること」
●平和(へいわ)は与え(あたえ)られるものではない
(メキシコ親(おや)の会(かい)会長(かいちょう))
 この南米大陸(なんべいたいりく)はもっとも富(とみ)の不均衡(ふきんこう)のある国(くに)だ。その溝(みぞ)をうめる作業(さぎょう)はむずかしい。
 平和(へいわ)は与え(あたえ)られるものでない。なぜなら、正義(せいぎ)が支配(しはい)している社会(しゃかい)ではないからだ。
 私(わたし)たち親(おや)の会(かい)は、この世(よ)の中(なか)で排除(はいじょ)されている人(ひと)とともに戦う(たたかう)ことから始めたい(はじめたい)。
 そのために、考察(こうさつ)し反省(はんせい)して、この世(よ)の中(なか)を生き(いき)やすい社会(しゃかい)にするために努力(どりょく)しよう。
 
●社会(しゃかい)の正義(せいぎ)は届いて(とどいて)いない
〜基調講演(きちょうこうえん)「排除(はいじょ)と平和(へいわ)」
ビビアン・トリフォス(パナマ大統領夫人(だいとうりょうふじん))
 この世(よ)の中(なか)で、携帯電話(けいたいでんわ)やコンピュータなど技術的(ぎじゅつてき)な革新(かくしん)がすすむなか、まだなにも解決(かいけつ)されていないのが、貧困(ひんこん)です。極貧問題(ごくひんもんだい)の解決(かいけつ)です。
 少数(しょうすう)の人(ひと)はありあまる贅沢(ぜいたく)の中(なか)にいて、多く(おおく)の人(ひと)が極貧(ごくひん)の中(なか)にいます。
 社会(しゃかい)の正義(せいぎ)は、そこまでは届いて(とどいて)いないのです。
 政府(せいふ)は、貧困(ひんこん)の撲滅(ぼくめつ)のためにいろいろな計画(けいかく)を立てて(たてて)きました。
 なぜ改善(かいぜん)されていないのか? 目(め)の前(まえ)の貧困(ひんこん)と戦う(たたかう)ことに熱心(ねっしん)になるばかりで、その構造的問題(こうぞうてきもんだい)に充分(じゅうぶん)迫る(せまる)ことができないできました。
 貧困(ひんこん)は「排除(はいじょ)の子(こ)ども」です。「排斥(はいせき)の結果(けっか)」なのです。
 
●貧困(ひんこん)の解決(かいけつ)はただひとつ、「参加(さんか)できる社会(しゃかい)」にすること
ヘレン・ホーランド(ノルウェー育成会会長(いくせいかいかいちょう))
 2004年(ねん)のメルボルン大会(たいかい)で貧困(ひんこん)プロジェクトが決定(けってい)し、(ノルウェーが資金協力(しきんきょうりょく)して)貧困(ひんこん)と知的障害(ちてきしょうがい)の関連(かんれん)を調査(ちょうさ)してきた。その結果(けっか)、「排除(はいじょ)には共生(きょうせい)を」「不平等(ふびょうどう)には機会(きかい)の均等(きんとう)を」が、重要(じゅうよう)な第一歩(だいいっぽ)であることがわかりました。重要(じゅうよう)な一歩(いっぽ)を踏み出し(ふみだし)ましょう。みんな同じ(おなじ)コミュニティのなかで暮らし(くらし)、すべての人(ひと)が参加(さんか)できる社会(しゃかい)にすることこそ、親(おや)の会(かい)組織(そしき)の大きな(おおきな)役割(やくわり)なのです。
 
●すべてのことから排除(はいじょ)されることが、貧困(ひんこん)の原因(げんいん)である
カルロス・レイズ・マンツオ
(英国(えいこく)・写真家(しゃしんか)・今回(こんかい)のプロジェクトに参加(さんか))
 世界(せかい)に1億(おく)3千万(さんぜんまん)の知的障害者(ちてきしょうがいしゃ)がいる
 その ほとんどのひとが 貧困(ひんこん)と排除(はいじょ)にくるしんでいる
 「だれも ぼくたちのことはみてくれない なぜなら ぼくらはまずしいから」
 家族(かぞく)や本人(ほんにん)、80カ国(かこく)以上(いじょう)のひとが 私(わたし)に話して(はなして)くれた
 世界(せかい)の知的障害者(ちてきしょうがいしゃ)の55%が 一日(いちにち)1ドル以下(いか)で生活(せいかつ)している
 小学校(しょうがっこう)を卒業(そつぎょう)する知的障害児(ちてきしょうがいじ)は 5%に満たない(みたない)
 母親(ははおや)は仕事(しごと)の機会(きかい)を失い(うしない)、子(こ)どもには医療(いりょう)ケアの機会(きかい)さえない
 障害児(しょうがいじ)の死亡率(しぼうりつ)は 普通児(ふつうじ)の4倍(ばい)だ
 障害児(しょうがいじ)は 排除(はいじょ)され 権利(けんり)を否定(ひてい)されている
 家族(かぞく)さえ 排除(はいじょ)の論理(ろんり)を もつことがある
 知的障害児(ちてきしょうがいじ)は ふつうの人(ひと)にくらべてエイズにかかる率(りつ)がたかい
 彼(かれ)らが弱く(よわく) また無知(むち)のせいである
 住環境(じゅうかんきょう)の悪さ(わるさ)と 水(みず)の悪さ(わるさ)
 基本的(きほんてき)な衛生環境(えいせいかんきょう)がないことが 二重(にじゅう)の障害(しょうがい)になっている
 彼(かれ)らは 対話(たいわ)から排除(はいじょ)されており 貧困削減政策(ひんこんさくげんせいさく)からさえも排除(はいじょ)されている
 家族(かぞく)と本人(ほんにん)はいう
 「貧困(ひんこん)は お金(かね)の問題(もんだい)ではない
 すべてのことから排除(はいじょ)されることが、貧困(ひんこん)である」と
 貧困(ひんこん)と排除(はいじょ)は 個人(こじん)を攻撃(こうげき)するだけでなく家族(かぞく)とコミュニティーも攻撃(こうげき)する
 貧困(ひんこん)は 個人(こじん)の問題(もんだい)でなく 不平等(ふびょうどう)に対応(たいおう)できない社会(しゃかい)の無能力(むのうりょく)の問題(もんだい)だ
 彼(かれ)らは 対話(たいわ)と参加(さんか)の機会(きかい)を 求めて(もとめて)いる
 彼(から)らは 社会(しゃかい)の一員(いちいん)になりたいのだ
 彼(かれ)らは 構造的(こうぞうてき)な変革(へんかく)を必要(ひつよう)としている
 それは 排除(はいじょ)に取り組む(とりくむ)構造的(こうぞうてき)な変革(へんかく)だ
(写真(しゃしん)スライド上映(じょうえい)のメッセージから)
(以上(いじょう)、文責(ぶんせき):武居(たけい))
 
●パネル討議(とうぎ)のことば・ことば・ことば
 「一番(いちばん)ひどい病(やまい)はHIVでもエイズでもなく、拒絶(きょぜつ)されること、受け入れて(うけいれて)くれないことである」 (マザー・テレサの言葉(ことば)を引用(いんよう))
人生(じんせい)の質(しつ)とは(ダウン症(しょう)のある男性(だんせい) ※映像(えいぞう)より)
 「人生(じんせい)の質(しつ)は、人並み(ひとなみ)の能力(のうりょく)を得る(える)ことだけではない。見返り(みかえり)を求めず(もとめず)人(ひと)に与える(あたえる)喜び(よろこび)を知る(しる)ことが大切(たいせつ)である」
障害児(しょうがいじ)の母(はは)の使命(しめい)(上記(じょうき)の男性(だんせい)の母親(ははおや) ※映像(えいぞう)より)
 「(彼(かれ)は)神(かみ)が授けた(さずけた)一番(いちばん)の贈り物(おくりもの)。何(なに)かの使命(しめい)を持って(もって)生まれ(うまれ)てきたはず。私(わたし)には(障害(しょうがい)や障害(しょうがい)をもつ人(ひと)の生活(せいかつ)について)人(ひと)に伝える(つたえる)という使命(しめい)がある」
障害者(しょうがいしゃ)の権利(けんり)について(報告者(ほうこくしゃ))
 「障害者(しょうがいしゃ)の権利(けんり)は箱(はこ)の中(なか)に閉まって(しまって)おくものではなくて、生活(せいかつ)の中(なか)に位置付け(いちづけ)ていくものである。」
伝える(つたえる)こと、行動(こうどう)すること(報告者(ほうこくしゃ) アフリカの当事者(とうじしゃ))
 「私(わたし)は貧困(ひんこん)についてよく知って(しって)いる。そのことについて人(ひと)に伝える(つたえる)ことができる。しかし今(いま)、私(わたし)は伝える(つたえる)ことをやめ、行動(こうどう)しなければならない。世界(せかい)を変える(かえる)ために、計画(けいかく)を立て(たて)、行動(こうどう)を開始(かいし)する時(とき)が来ている(きている)」
 
分科会(ぶんかかい)で発言(はつげん)する館森(たてもり)さんとスペイン語(ご)で支援(しえん)している佐宗(さそう)さん
 
リーダーとしての自覚(じかく)(報告者(ほうこくしゃ))
 全て(すべて)の人(ひと)の平等(びょうどう)が人権(じんけん)の達成(たっせい)につながる。よって、人権(じんけん)は知的障害者(ちてきしょうがいしゃ)だけの問題(もんだい)ではない。人種(じんしゅ)や職種(しょくしゅ)を越えて(こえて)、あらゆる人(ひと)にスポットが当て(あて)られるべきである。勿論(もちろん)、障害者(しょうがいしゃ)の親(おや)にも。組織化(そしきか)を目指し(めざし)、行動(こうどう)しなければならない。世界(せかい)はインクルージョンに向けて(むけて)変わり(かわり)つつあるが、それでもやるべきことはたくさんある。私(わたし)たち(障害(しょうがい)のない人(ひと))は障害(しょうがい)のある人(ひと)の能力(のうりょく)に対し(たいし)てずっと無知(むち)だった。今後(こんご)、どんな仕事(しごと)ができるのかなどを知り(しり)、政府(せいふ)へ技術的支援(ぎじゅつてきしえん)を含めて(ふくめて)積極的(せっきょくてき)に働きかけ(はたらきかけ)をするべきである。あらゆる人(ひと)がリーダーとしての自覚(じかく)を持ち(もち)、当事者(とうじしゃ)一人一人(ひとりひとり)の声(こえ)を吸い上げ(すいあげ)、それをactionに!それこそがchallengeである!
国連障害者(こくれんしょうがいしゃ)の権利条約(けんりじょうやく)について(報告者(ほうこくしゃ)、及び(および)会場(かいじょう)の質疑応答(しつぎおうとう)より)
 権利条約(けんりじょうやく)は強制的(きょうせいてき)ドキュメントである。今後(こんご)、各国(かっこく)の連携(れんけい)の下(もと)に人権対策(じんけんたいさく)の実施(じっし)やモニタリングを進めて(すすめて)いくこととなる。つまり、具体的(ぐたいてき)な人権対策(じんけんたいさく)が義務(ぎむ)として各国(かっこく)に課せ(かせ)られることとなる。しかし、現時点(げんじてん)では超国家的(ちょうこっかてき)な監視(かんし)は全体(ぜんたい)の賛同(さんどう)を得られ(えられ)なかったため、まずは条約(じょうやく)を批准(ひじゅん)した国(くに)で先駆的(せんくてき)に行う(おこなう)こととなった。ただ、障害種別(しょうがいしゅべつ)などで初め(はじめ)はまちまちだったニーズが、徐々(じょじょ)に統一(とういつ)されてここまで漕ぎ着けた(こぎつけた)ことは大きな(おおきな)進展(しんてん)といえる。参加者(さんかしゃ)それぞれが“inclusion”、つまり“共生(きょうせい)”について考え(かんがえ)、文化(ぶんか)を越えて(こえて)互い(たがい)の溝(みぞ)を埋めて(うめて)いった結果(けっか)が現在(げんざい)の形(かたち)となっている。
 このような権利条約(けんりじょうやく)は、障害(しょうがい)のあるあらゆる人(ひと)の便宜(べんぎ)を図る(はかる)出発点(しゅっぱつてん)となる可能性(かのうせい)を十分(じゅうぶん)に秘めて(ひめて)いる。人権(じんけん)の条約以上(じょうやくいじょう)に大事(だいじ)な条約(じょうやく)はなく、そこにはコミュニティでの生活(せいかつ)を見据えた(みすえた)教育(きょういく)やヘルスケアなどが含まれる(ふくまれる)。今後(こんご)、各国(かっこく)の言語(げんご)に翻訳(ほんやく)されることになるが、その際(さい)“自分(じぶん)の人生(じんせい)を自分(じぶん)で決める(きめる)”ための支援(しえん)を各国(かっこく)に義務付ける(ぎむづける)ようにしなければならない。
(以上(いじょう)、文責(ぶんせき):中(なか))
 
グループ討議(とうぎ)に参加(さんか)する小池(こいけ)さん“支援者(しえんしゃ)には手伝い(てつだい)すぎないでほしいと言いたい(いいたい)”と発言(はつげん)
 
インフォメーションデスクに座る(すわる)坂井(さかい)さん(右(みぎ))、小長谷(こながや)さん(中央(ちゅうおう))、阿佐野(あさの)さん
 
夕方(ゆうがた)の「日本(にほん)とメキシコ親(おや)の会(かい)との交流会(こうりゅうかい)」は、150名(めい)を越える(こえる)大(だい)・大(だい)・大集会(だいしゅうかい)になりました!!


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