日本財団 図書館


表4.2.2-13(1)  廃プラスチックのガス化リサイクル
(サーモセレクト方式ガス化溶融)
項目 内容
技術内容に関する事項 技術の名称 サーモセレクト方式ガス化溶融
処理対象物等 容器包装リサイクル法に基づく廃プラスチック
リサイクル方法 ケミカルリサイクル(ガス化)
再生製品 合成ガス
技術レベル 実用段階
技術概要
<ガス化溶融技術>
 ガス化溶融とは、廃棄物を直接燃焼せず処理する方法で、燃料電池やガスエンジンなどに使用可能な合成ガスと再利用が可能な固体物に変えるものである。
<川鉄サーモセレクト方式ガス化溶融>
 スイスのサーモセレクト社が開発した熱分解ガス化溶融技術をもとに、川崎製鉄(株)(現. JFEスチール株式会社)が日本のごみ事情を考慮して独自の改良を加えたもので、一般廃棄物はもちろん、医療廃棄物やシュレッダーダスト、廃プラスチック、下水汚泥などをガス化溶融して有用な資源を回収・再利用するシステムとなっている。
 本方式は(1)ごみの圧縮・熱分解、(2)ガス改質・溶融、(3)ガスの冷却・精製、(4)水処理という大きく4つのプロセスから成り立っている。
(1)圧縮・熱分解工程
 ごみ(廃プラスチック、紙くず、木くず、汚泥等)をプレス機で5分の1程度にまで圧縮*した後、熱分解炉へと送り、約2時間をかけて蒸し焼きにされる。この過程でごみは熱分解され、水分や揮発性の有機物のガス化が進む(残りは無機物や金属を含んだ炭化物となる)。
*空気を抜くことで、熱分解効率を高める。
(2)ガス改質・溶融工程
 熱分解により生じたガスと炭化物は次に高温反応炉に送られ、このうち、炭化物は炉下部でバーナーから吹き込まれた純酸素と反応して約2,000℃の高温となり、無機物や金属が溶融される。
 
表4.2.2-13(2)  廃プラスチックのガス化リサイクル
(サーモセレクト方式ガス化溶融)
(拡大画面:361KB)
 
表4.2.2-13(3)  廃プラスチックのガス化リサイクル
(サーモセレクト方式ガス化溶融)
項目 内容
技術内容 問い合わせ先 JFEホールディングス株式会社 企画部
 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-2
JFEスチール株式会社
 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル
ジャパンリサイクル株式会社(事業主体)
 〒260-0835 千葉県千葉市中央区川崎町1番地
 (JFEスチール株式会社 東日本製鉄所内)
技術の有効性に関する事項 特長
■ダイオキシンの発生を大幅に抑制できる 
■廃棄物をクリーンで有効なガスに転換できる
■スラグやメタルなどを再利用可能な資源として回収できる
■廃棄物の持つエネルギーで溶融処理を行い、一方、ダイオキシン類や重金属を多量に含む飛灰の処理を行わなくてよいため、従来の焼却+灰溶融方式と比べ、トータルコストの削減が可能となる
処理コスト
(イニシャル・ランニングコスト)
事業採算性
■「即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発/可燃ごみ再資源燃料化技術開発」事後評価報告書(案)(平成14年12月、新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会)によれば、ガス化の再商品化コストは、原料ベースで60〜80円/kgと推定されており、生成ガスの利用施設がプラント近郊にあることも事業化の条件とされている。
■サーモセレクト方式は、一般的な家庭ごみ1tを処理した場合、水素や一酸化炭素からなる合成ガス700〜1,000Nm3のほか、メタル、溶融スラグ、混合塩などを回収でき、建設にあたっては、従来の焼却炉と同程度の費用でできる。
再生製品の性能等 <合成ガスの性状>
 回収された合成ガスはコジェネレーションガスエンジンの燃料として、あるいは、燃料電池の燃料として使用することができる。
 
表4.2.2-13(4)  廃プラスチックのガス化リサイクル
(サーモセレクト方式ガス化溶融)
項目 内容
技術の有効性に関する事項 再生製品の性能等 <回収物の性状>
 溶融スラグは、厚生労働省の定める「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用に関する指針」の溶出基準を満足している。メタルの主成分は鉄であり、高濃度の銅を溶融している。
環境・安全面  発生ガスの高温処理・急速冷却により、ダイオキシンについては、発生そのものを抑制している。また、同時に塩化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物の排出量も大幅に低減できる。
適用条件等
■ジャパンリサイクル(株)では、通常、産廃(廃プラ、紙くず、汚泥等)と容リプラを混合処理している(投入比率は1:1程度)。
■建設混合廃棄物(約5割がプラスチック)については、破砕等の中間処理済みのものを受け入れている。
■シュレッダーダストについては、実証試験により、受け入れ可能との結論を得ている(ただし、シュレッダーダスト100%の投入は不可)。
■塩ビ系樹脂についても処理可能であるが、プロセス内の塩素を中和する薬品(苛性ソーダ)が多量に必要となるため、コストが割高となる。
その他 <開発履歴>
 川崎製鉄は、1997年にサーモセレクト社より技術を導入し、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の支援を得て、1998年より、現JFEスチール東日本製鉄所千葉地区構内に処理能力150t/日・炉×2系列からなる設備を建設。1999年度には、千葉県千葉市との共同研究として、この設備を用いて93日間連続及び延べ130日以上の一般廃棄物処理実証運転を終了している。
<合弁会社>
 川崎製鉄(株)と三菱マテリアル(株)は、1998年12月、本システムを用いた塩ビ混入廃棄物のリサイクル事業の展開を図るため、合弁会社となるジャパン・リサイクル(株)を設立。
 
表4.2.2-13(5)  廃プラスチックのガス化リサイクル
(サーモセレクト方式ガス化溶融)
項目 内容
その他の事項 文献発表等
<文献発表>
「サーモセレクト方式ガス化改質炉」
山田純夫ら、JFE技報No.3(2004年3月)
「ガス化改質型溶融炉」
行本正雄、ゼロエミッション型産業を目指して(監修 鈴木基之)シーエムシー出版PP.294-299
評価・表彰実績
特許の取得
<評価・表彰実績>
■2000年度新エネ大賞((財)新エネルギー財団)をガス化溶融設備として初めて受賞した。
環境への取り組み 表4.2.2-9参照
添付資料


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION