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表4.2.2-6(1)塩化ビニル混入廃プラスチックの油化処理
項目 内容
技術内容に関する事項 技術の名称 プラスチック油化技術
処理対象物等 塩化ビニルを含む都市ごみ系廃プラスチック
リサイクル方法 ケミカルリサイクル(油化)
再生製品 燃料油(重質油・中質油・軽質油)
技術レベル 実用段階
技術概要
 塩化ビニルなどの塩素系プラスチックを最大50%まで混入した廃プラスチック(熱可塑性樹脂)を連続して熱分解処理し、生成油を回収、燃料油等として再利用する。
 油化処理工程は、大きく分けて、(1)前処理工程、(2)脱塩化水素・分解工程、(3)生成油回収工程という3つの工程から成り立っている。
(1)前処理工程:受入→破砕・乾燥→選別→造粒→貯留
 施設に持ち込まれた廃プラスチックを、破砕機で5mm程度のペレットに成形する。
(2)脱塩化水素・分解工程:投入→脱塩→溶融→熱分解
 ペレットをスクリュー式脱塩装置に投入し、塩素の除去を行う。次いで、溶融槽で300℃程度にまで加熱し、さらなる脱塩素処理を行う(除去された塩素は、塩酸回収塔にて塩酸として回収する)。
 一方、溶融状態のプラスチックについては、熱分解装置に移送し、400℃程度まで昇温して、分解ガスを発生させる。
(3)生成油回収工程:貯留→蒸留→生成油→排ガス処理
 分解ガスは一旦冷却して分解油ドラムに溜め、最後に生成油回収塔で蒸留して、性状別に油として回収する。なお、分解装置で分解せずに残った残渣分については、同装置から排出し、固形の残渣として回収する(固形燃料として再利用が可能)。
 生成油回収塔で回収されなかった低沸点のガス成分については、排ガス処理装置で処理する。
 
表4.2.2-6(2)塩化ビニル混入廃プラスチックの油化処理
(拡大画面:319KB)
 
表4.2.2-6(3)塩化ビニル混入廃プラスチックの油化処理
項目 内容
技術の有効性に関する事項 特長
■触媒を使わずに油化できる(アルカリ・水添加法)。
■生成油を装置の加熱源に利用する省エネ設計となっている。
■処理過程で発生する油、残渣、塩酸も有効に活用できる。
■油化処理後の廃棄物の発生をミニマム化するプロセスを採用している。
処理コスト
(イニシャル・ランニングコスト)
 既存の高炉に設備を付加する高炉原料化技術やコークス炉化学原料化技術と比較すると、初期設備投資額が大きく、コスト面で劣勢にある。
事業採算性  「即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発/可燃ごみ再資源燃料化技術開発」事後評価報告書(案)(平成14年12月、新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会)によれば、油化の再商品化コストは、原料ベースで80〜120円/kgと推定されている。
再生製品の性能等  (生成油の)利用者からは品質がよいとの評価を得ている。
環境・安全面
適用条件等 <受入条件>
 フェノール樹脂等の硬化性プラスチックは油化できないため、収集段階で除外しておくことが望ましい。
その他 <札幌プラスチック(株)の沿革>
 札幌プラスチック(株)は、平成10年10月、(株)東芝、(株)テルム(東芝の全額出資会社)、三井物産(株)、札幌市などの合弁で設立された再商品化事業者である。
 事業の核となる油化施設は「エコタウン札幌計画」のハード事業として「札幌市リサイクル団地」内に設立された国内最大級の施設で、その建設には52億円の資金が投入された。2000年4月より稼働を開始。処理能力は約40t/日(20t×2系列)。
 
表4.2.2-6(4)塩化ビニル混入廃プラスチックの油化処理
 


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