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表4.2.1-6(1)  溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
項目 内容
技術内容に関する事項 技術の名称 溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
処理対象物等 発泡スチロール
リサイクル方法  リサイクル方法は1)マテリアルリサイクルおよび2)ケミカルリサイクル(油化)の2種類から選択することができる。
再生製品 1)ポリスチレンインゴット
2)スチレンモノマーとスチレンオリゴマーの混合油
技術レベル 実用段階
技術概要  発泡スチロール専用減容化溶剤によって発泡スチロールを減容ゲル状化し、再資源化するためのプラントに注入。まず、蒸留をおこなうことにより、溶剤とポリスチレン樹脂とを分離する。
 分離した溶剤は再び発泡スチロール減容化溶剤としてリサイクルする。
 樹脂は以下の2種類から選択して、再資源化する。
1)装置から取り出して、マテリアルリサイクル
2)熱分解することにより、スチレンモノマーとオリゴマーの混合油として回収
問い合わせ先 株式会社オプティ 代表取締役 猪野栄一(いの)
 Tel. 045-731-7471 Fax. 045-731-7435
 〒232-0017 神奈川県横浜市南区宿町2-39-2
技術の有効性に関する事項 特長  その多くを空気で構成されている発泡スチロールの空気を溶剤によって脱泡することで、大幅な輸送コストおよび燃料消費を抑え、C02の排出削減をおこなうことができる。
 発泡スチロール減容化溶剤には、ポリスチレンのみ溶かす溶剤を使用しているので、ポリスチレン以外を溶かすことはない。また、本溶剤は石油系溶剤で比重がO.83あるため、水(海水)等の異物は比重によって分離することができる。その他の異物は網などを使って簡単に異物除去ができることから、選択的にポリスチレン樹脂を回収することができる。
 
表4.2.1-6(2)  溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
項目 内容
技術の有効性に関する事項 処理コスト
(イニシャル・ランニングコスト)
1)プラント建設費:38,000,000円/台
エスディーキューブ200(蒸留・油化装置)
プラント組立・配管工事費込み(基礎工事・土木関連諸工事・電気・水道・官庁申請手続き費用は含まない。)
2)維持管理費:36,000,000円/年
3)トン当たりの処理費用
 溶剤は繰り返し使用するため、処理費用は処理量によって変動する。
4)株式会社オプティが処理する場合の費用
溶剤の価格:350〜500円/kg
(発泡スチロールの状態や量による)
事業採算性 別紙参照
再生製品の性能等
1)再生樹脂は、現在東京国際産業株式会社を通じて中国でテレビやミニコンポなどの筐体としてリサイクルされている。
2)スチレンモノマーおよびオリゴマーの混合油については、ボイラーの燃料として使用(11,000k/cal)できる。さらに、精密蒸留をおこなうことにより、スチレンモノマーという高付加価値化学原料として使用することができる。
環境・安全面  処理に伴って発生する環境負荷は、現行の処理方法と比べ大幅に削減できる。
 安全面については、溶剤が第4類第2石油類であることから消防法を遵守して作業をおこなえば安全性に問題はない。
適用条件等
1)原則として特別な知識や経験は必要としていない。
2)当社および関連会社のリサイクルセンターにて処理作業をおこなう場合は、代理店を経由することとする。
その他  溶剤は、当社の販売代理店である社会福祉法人同愛会「リプラス」を経由して販売。
 年内には福島県白河市に再資源化プラントが竣工予定。
 
表4.2.1-6(3)  溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
項目 内容
その他の事業 文献発表等
<文献発表>
「廃発泡スチロール化学リサイクルシステム ゲル化樹脂の蒸留・熱分解油化一括処理」
(株)オプティ 猪野栄一、工業材料Vol.53 No.4
<新聞掲載>
■2005.01.05付 日刊工業新聞
「廃発泡スチロール 1台で蒸留・油化」
■2005.01.10付 石油化学新聞
「発泡スチロール再資源化 熱分解油化装置を開発」
■2006.08.07付 循環経済新聞
「廃発泡スチの蒸留油化装置FRP資源化技術も開発へ」
評価・表彰実績
特許の取得
<特許の取得>
■「発泡ポリスチレンの減容化剤及び該減容化剤を使用する発泡ポリスチレンの回収方法」(特開2006-169271)
■「ポリスチレンゲルの処理装置及び処理方法」(特開2006-233037)
環境への取り組み  ISO等について取得等は、現在のところ行っていない。
添付資料
■事業採算性(別紙−1)
■化学物質等安全データシート(抜粋)(別紙−2)
 
溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
〔別紙−1 事業採算性〕
 
 「オプティ式発泡スチロールリサイクルシステム」は、溶剤の販売から始まり、樹脂の販売や油化精製した石油の販売と、全てが売上げにつながるシステムである。
 溶剤はリサイクルするので、繰り返し販売できる。よって、溶剤を効率よく回転させることにより、確実に利益を上げることができる。
 
 
プラント:エスディーキューブ200
<収入>
月間25日稼働
溶剤販売量(日)  400L
 (月)  10,000L
溶剤単価(1リットル)  350円
再生樹脂(kg)  42円
再生樹脂販売量  8,000kg
* 油化した油の販売は含めていない。
 
溶剤販売 3,500,000円
再生樹脂販売 336,000円
合計 3,836,000円
 
<支出>
人件費(3名分) 900,000
福利厚生費 150,000
電気使用料 150,000
水道使用料 10,000
プラント減価償却* 750,000
家賃 300,000
運搬具レンタル代・燃料代 400,000
運送料 100,000
雑費(メンテナンス含む)** 200,000
合計 2,960,000
* 4,300万円を5年で償却した場合の数字。溶剤の初期投資価格を含む。
** 消失した溶剤の補充は雑費に含まれる。
 
溶剤減容による廃発泡スチロールの処理システム
〔別紙−2 化学物質等安全データシート(抜粋)〕
 
 発泡スチロールの減容化溶剤として使用するSD溶剤の安全性について、化学物質等安全データシート(MSDS)より抜粋し、以下に記す。
 
■化学物質及び会社情報
製品名:エス・ディー溶剤
製造者:(株)オプティ Tel. 045-731-7471
■組成、成分情報
単一製品・混合物の区別:混合製品
化学名:1,2,4-トリメチルベンゼン(別名:プソイドクメン)
2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン(別名:イソドデカン)
上記製品の混合物
■危険有害性の要約
分類の名称:引火性液体。
有害性:皮膚接触により多少の刺激作用を生じる。
環境影響:知見なし。
物理的及び化学的危険性:引火性の強い液体で、空気と爆発性混合ガスを形成する。
■物理的及び化学的性質
外観:無色透明液体
沸点:169〜182℃
初留点:169℃
融点:-43.8℃
引火点:49℃
発火点:413℃
爆発限界:知見なし
密度:0.83
溶媒に対する溶解性:水に難溶
■安全性及び反応性
可燃性:引火しやすい。
発火性(自然発火性):なし。
酸化性:なし。
自己反応性・爆発性:蒸気密度は空気より重く、低所に滞留して爆発性混合ガスをつくりやすい。
安定性・反応性:通常の取扱い条件においては安定である。
■有害性情報
ヒトへの健康影響
(1)急性毒性:知見なし。
(2)刺激性:知見なし。
(3)感作性:知見なし。
(4)亜急性毒性:知見なし。
(5)慢性毒性:知見なし。
■摘要法令
消防法:第4類第2石油類(非水溶性液体)
労働安全衛生法:施行令別表第1危険物(引火性のもの)
船舶安全法:高引火点引火性液体
海洋汚染防止法:バラ積み輸送における有害液体物質(A類物質)
化学物質管理促進法(PRTR法):該当せず


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