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図3.2-8 発熱量の比較
■発熱量の比較
kcal/kg(ただし天然ガス、都市ガスはkcal/Nm3
注:石炭・コークス・重油は天然物のため発熱量に差のあるものがある
出典:※(1)燃料協会編「最新燃料便覧」(1984年)コロナ社
(2)資源エネルギー庁編「総合エネルギー統計」(1994年度版)通商産業研究社
(3)東京ガス調べ
(4)K.Krekeler, P.M.Klimke:Kunstsoffe,55, [10], 758(1965)
(5)ペットボトル協議会
(6)プラごみ最適処理技術研究会編著「プラごみの処理処分」日報
 
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会
 
図3.2-9 ガス化溶融発電システム
■ガス化溶融発電システム(ロータリキルン+燃焼溶融炉)
出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会
 
(2)固形燃料(RPF)化
 RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)とは、マテリアルリサイクルが困難な古紙や木くず、プラスチック(塩化ビニル製品を除く)を原料とした高カロリーの固形燃料のことをいう3。石炭並みの熱量(6,500〜8,000kcal)がありながら、価格は石炭の1/4〜1/3という安価なため、そのコストメリットから、石炭やコークス等の化石燃料の代替として、製紙会社や鉄鋼会社、石灰会社(セメント会社)などからの需要が高まっている。
 工場や事務所などから回収された古紙や木くず、廃プラスチックは、大別すると、選別→破砕→減容固化(成形)のプロセスを経て、RPFとして製品化される。選別工程では、磁力選別や機械選別、手選別などによって、原料となる廃プラスチック等から金属などの不要物(不適物)が取り除かれる。次に、破砕機で一定の大きさに破砕され、さらに減容固化機で減容・成形加工されて、RPF(製品)のペレットのできあがりとなる。
 RPFには、経済的で、化石燃料代替としての利用が可能という利点のほかにも、廃プラスチックと古紙・木くずの配合比率を変えることで熱量のコントロールが可能である、発生履歴が明らかな廃棄物を原料として使用しているため品質が安定している、固形で密度が高いためコークスや粉炭等と同等の利便性をもち、貯蔵特性にも優れている、といった利点がある。ただし、古紙及びプラスチックに含まれる塩素分を燃焼の支障にならない程度まで除去し、燃焼時のダイオキシン類の発生を抑制することが不可欠である。
 なお、サーマルリサイクルにおける燃料化技術としては、この他技術的に確立されているものとして、粉体燃料化(廃プラスチックを選別・粉砕し、燃料化する)とスラリー燃料化(廃プラスチックを選別・粉砕し、水・油等の液体と混合して燃料化する)がある。ただ、いずれの手法もプラスチックの種類が限られ、また、燃焼用途に限られるため、他と比べてコスト面で不利となっており、あまり普及はしていない。
 
3古紙や廃プラスチックを原料としたRPFに対し、主として自治体が収集する家庭ごみを原料として製造した固形燃料をRDF(Refuse Derived Fuel)という。RDFは家庭ごみが中心のため、RPFに比べて含水率は高く、発熱量は低くなっている。
 
表3.2-3 RPFの品質基準(日本RPF工業会制定)
項目 品質基準値
石炭代替品
品質基準値
コークス代替品
測定方法
高位発熱量(気乾ベース) 5,000〜8,000kcal/kg 8,000kcal/kg以上 JIS Z 7302-2
水分(気乾ベース) 3.0%以下 0.5%以下 JIS Z 7302-3
灰分(気乾ベース) 7.0%以下 5.0%以下 JIS Z 7302-4
全塩素(無水ベース) 0.3%以下 0.2%以下 JIS Z 7302-6
硫黄(無水ベース) 0.2%以下 0.2%以下 JIS Z 7302-7
窒素(無水ベース) 0.5%以下 0.5%以下 JIS Z 7302-8
 
(3)セメント原燃料化
 セメント原燃料化とは、廃プラスチックや廃タイヤ、燃やせるごみなどをセメント製造時の燃料として利用するとともに、燃料残渣である無機成分をセメント原料の一部として利用することをいい、リサイクル段階において、廃棄物に原料と燃料という二つの役割をもたせるということからこう呼ばれている。
 工場や事務所などから回収された廃プラスチックは、大別すると、破砕→焼成→仕上げというプロセスを経て、セメントとなる。破砕工程では、燃焼効率や扱いやすさなどを考慮の上、原燃料として適した大きさに破砕される。次に、焼成炉(キルン)へ送られ、セメント原料を高温で加熱するための化石燃料の一部を代替する燃料補助剤として使われる。この際、燃え残った灰は、他のセメント原料とともに、セメントの半製品であるクリンカを形成する。このクリンカに少量の石膏を加え、仕上げミルで微粉砕したものがセメントである(仕上げ)。
 なお、原燃料化には、一度に大量の廃プラスチックをリサイクルさせることができる、高温で焼成するためダイオキシン類等の有害な有機物はほぼ完全に分解できる、といった利点がある。ただし、ハロゲン(塩素、臭素等)を多く含む廃プラスチック(塩化ビニルなど)は、製造プロセス及びクリンカの品質に悪影響を及ぼすため、これらを原燃料として利用する際には、前処理として脱ハロゲン処理を行う必要がある。


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