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<コーディネーター>
 ありがとうございます。北海道の様々な先駆的な取組みの話がありました。知らなかった事多々あったかと思います。ガイドブックを作っていたり、専用電話相談窓口があったり、非常に重要だと思ったのは難病医療福祉相談会など展開されている。そのことにより逆に様々な状況にある方が分かってくるという活動をされている。事業展開としては財団法人北難連が難病相談支援センターを運営しているという意味では多少、佐賀や沖縄、熊本のNPOとして運営している形とは若干異にするちょっと違った所で展開されていると思います。割愛されたと思いますが北海道IBDの生い立ちということで1990年からの様々な歴史も踏まえた中でのお話だったと思います。
 残り25分時間がございます。フロアの方から質問を受けつけながら各シンポジストの方に答えていただくという形をとらせていただきます。
 樫山さんの方は現在の熊本県の難病政策という限定されたお話と解釈しております。三原さんのほうは相談事業に主として力点を置き、きめ細やかな相談援助を行っていてきめ細やかなネットワークを展開しているということ。
 
Q:三原さんに、仕事を遂行していく点での課題点など聞かせていただければ・・・。
A:聞いたこともないような病名、相談の内容が多岐にわたる。心のケア、生活支援、住宅改修、就労支援。相談員が3名しかいないので、一人当たりの相談時間が長く、一日かかることもある。1人に振りかかるのでなく、皆で共有しながらやっております。
Q:どこまで介入するかの線引きはどこまで?スタッフにかかる業務分担は?
A:線引きはしないでやれるところまでやり、周りに支援してくれる人がいるので一緒にやっていき、ネットワークを使って解決している。精神の場合は線引きしています。全部介入しないように、患者さんの自立を支援するのが一番の目的、前向きになってもらうのが支援の内容なので、多い場合は3人の支援員で共有しながらやっています。
 
 実践の先駆的な裏側で相当な尽力の中で仕事が遂行されているのがチラチラと見えましたので、確認させていただく質問させていただきました。
 
Q:福岡IBD友の会事務局をしています山田です、よろしくお願いします。皆さんの話を聞いてどういう風に行政を動かすか、が最近のメインになっているのだと思った。立ち上げのときにメンバー構成、どうメンバーが決まったのか、活性化していくにはどのようなところにポイントを置いているのかをおたずねいたします。
沖縄:スタッフの選定ですが本来は保健師がやるもの、その中で当事者団体が委託を受けてもかまわないというところでやっている。沖縄難病相談支援センターは平成14年に立ち上げで、アンビシャスは実績があるということで委託を県から受けた。やっていたメンバーがそのまま相談員です。窓口のサービスの差は厚生労働省になって雇用関係も取り組む事になった。できる事を増やしていく事にしている。テーマを絞ってやっている。立ち上がったばかりなので、研究会でクオリティをあげている、ピアカウンセリングや医療についての研修をやっている。どうしても都道府県の財政によっても差が出てくるのは仕方ないかなと思います。
 
 
佐賀:立ち上げに関わったスタッフは、NPO佐賀県難病ネットワーク。就労、交流会、相談の実績があった事が指定管理を受けた理由だと思います。福岡は難病センターが九大病院の中にある。大学病院の中、保健所の中、県の中にあるところ、各都道府県によって違う。どういうところに特徴があるかは全て変わってくる。やる人によって変わってくる。県の考え方によっても変わってくる。自分の県と一緒に何をやっていくか。提案事業がこれからの課題。その中で就労支援、パーキングの制度。災害時の行動支援のマニュアル計画策定を県と一緒にやっていく事になった。3年事業。提案型がこれからやっていける事ではないか。
 
北海道:北海道難病連が大事にしている事は道の下請けではない。患者に対して本来行う行政サービスを患者が行うメリットをきちんと考えていく。1人何役もやっているが、情報をきちんと仲間に知らせて広げる、色々な機関と協力関係を作って働きかける事、事業化ですね自分たちの足できちんと立っていくという事も大事だと思います。
 
熊本県:難病相談支援センターというのは県が県の施設に用意をした。運営はNPO難病相談ネットワークに県から委託をしている。県の関わりは当事者団体が自主的・主体的に行い県は後方支援をしていくスタンス。自分達で主体的にやっていくといろんな事ができる。毎月交流会・勉強会をやっている。運営する側がどれだけ当事者意識をもっているか。課題はこれからそれぞれの18団体。保健所主体の患者会が7つ。後継者を新たに見つけていく事が活性化につながっていく。何をやっていくかが問題。組織率は1/10。関係機関との連携、就労支援の必要性は思っている。
 
Q:「北海道はこんなにお得」というのはよかった。熊本県も出せたらいいな。難病医療福祉相談会委託とかいてあったが、行政がやっている部分を難病連に委託しているのでしょうか?NPOに委託対応するってことでなく、NPOに委託してその中で専門の先生をお願いしたり、福祉関係をお願いしたりして運用していらっしゃるのかなと思ったのでお答えをお願いします。
A:道から北海道難病連が委託を受けている。国の補助事業なのかどうか分かりませんので後で調べておきたいと思います。下準備があり関係市町村、保健所と事前の調整を行っています。その上で該当地域の中民の方にアナウンスをして事前に質問票とかも回収しています。行く時点で凡そのどれぐらいの方がみえるかわかっています。場合によってはどう答えたらいいかの事前ヒアリングができる。神経難病の患者が多くみえます。
 
北海道:一つだけ宣伝です。患者団体が持っているノウハウこれは売れる。北海道IBDのノウハウ。ピアカウンセリングで受けてきた患者から患者からのメッセージ。I・IIと作って今度III部の中では40人の専門職の方からIBDへのメッセージというのをいただきました。我々に結びついてくる40の職種の方同士の横のネットワークも作れていけたら素晴らしいだろうし、一定の利益を得られるというのも出来ていくのではないでしょうか。
 
<コーディネーター>
 今回のシンポジウムを通じて、通訳する論点を4点5点ほどお話したい。
1. 自分の病気に関わる患者会に入っている。それと同時にその組織が協力している。そして相談支援センターのようなNPOを立ち上げている。ある種3足のわらじをはき続けなければいけない。それは沖縄でも佐賀でも、北海道でもほぼ同じのようです。
 患者会で何をするのか、難連で何をするのか、NPOで何をするのか。多元的に戦略を展開していく。だからこそ区分と区分け。その上で連携を図っていくという状況がありうると思いました。
2. 重点事業。どこに力点を置いているか。多少各センターの重点事業にはずれがあるように思います。相談・援助事業、相談・援助事業しつつ同時に就労支援これも柔軟に対応してきた事の結果と思います。その背景には、多くの方のご尽力によって可能になっている。人・物・金みたいなものをどう調達するか、どう出しもらうかもあわせて考えるのも重要かと思います。
3. 就労支援の方で斡旋型でもミスマッチを起こす。事業型でもヒット商品になるとは限らない。試行錯誤をやっていく。どちらをやるにしても課題にぶつかる。就労というのはやっかいでマーケットがあっての事なのでやっかい。
4. ある種の事業化、商売をする事も可能。ガイドブック、きめ細やかな冊子を作って売っていく。指笛も作って売り。ある種行政の委託の相談事業もしつつ、請負もしつつ、商売もしていく商い的な感覚を含め必要かもしれません。ただそこに力点が置かれすぎても患者組織それ自体の主義主張、バランスがとれなくなるので、絶妙なバランスが必要であると感じました。これで第1部のシンポジウム「難病と福祉施策」については終了したいと思います。ありがとうございました。


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