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第1報告者:熊本県福祉相談所所長 樫山隆昭さん
 皆様おはようございます。県の福祉相談所所長の樫山でございます。
 お手元の資料の中に別つづりがございます。本日は熊本県の主な難病施策についてご説明させて頂きたいと思います。県の主な施策として主な3つの施策の取組みついてご説明させて頂きます。
 (スライド02、03、04)1つ目が特定疾患治療研究事業、2つ目が難病相談・支援センター事業、3つ目が難病患者地域支援対策推進事業です。
 まず難病のうち希少性、原因不明、効果的な治療法が未確立、生活面への長期に渡る支障を有する。いわゆる特定疾患についてですが、現在調査研究の対象となっているのが121疾患ございます。その中で医療費の支援対象となっているものが45疾患です。これは昭和47年に出された国の要綱が事業実施の根拠となっています。これは各県同じような事業を実施していますが、対象者、有効期限はここに記載されているとおりです。16年度末医療費受給者これは国では54万人、そして熊本県におきましては18年7月末で約1万人という状況です。医療費の公費負担の割合ですが、これは重症認定を受けた方は全額公費負担ですが、それ以外の方は所得に応じて負担限度額が定められています。7段階に別れています。本県の場合、平成12年の場合受給者数は8千人でありましたが、18年の7月末現在で1万人と、6年間で25%の大幅な増となっています。また12年時点予算が10億4千万円でしたが、18年度の予算計上が16億4千万ということで、6年間で6億、毎年1億円の増ということで非常に大きな財政負担になっています。併せてこれは国、県が2分の1ずつでございますが、国は10割負担すべきところを6割程度しか負担していませんので、本来国の負担すべきところまで県が負担しなければならず、県の財政でも大変厳しい財政状態になっております。どこの県も同じような状況かと思いますが今の日本の医療制度が財政的に危機的な状況にあるなかで今後どのように考えていくかということですが、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎をこれにつきましては軽症患者を公費負担対象から除外する方向で検討を進める見通しと新聞に掲載されていました。詳細につきましては情報不足ですが、これについては難病の定義の一つであります希少性5万人以下と言うのが根拠のように言われていますが、パーキンソン病が7万3千人、潰瘍性大腸炎が8万人ということで、医療費を全体としてどのように押さえるという始点からの議論があっているんじゃないかと思います。今後どのような形にするかは患者団体の意見を聴きながら進めていくということでございます。今後十分注視すべき一つの論点であろうかと思います。
 (スライド05)次に2つ目の取組みは難病相談支援センター事業でございます。センターはNPO法人熊本県難病支援ネットワークに熊本県が委託をしています。まかされた同法人が本来創意工夫を発揮しながら独自に自由にやっていただくという事です。
 (スライド06)昨年の6月10日にこのセンターはオープンしていますが左側が潮谷知事、中央が陶山所長、右が理事長の野口さんです。
 (スライド07)難病相談支援センターがまだよく知られていないと思いますが、所在地、熊本市東町11-1健康センターが次にでてきます。
 (スライド09)相談が多く、どこの県も同じような傾向とは思いますが一番は病気予後について、二番目は同病者との交流、紹介について、三番目が病気治療、薬についてというようになっています。
 この写真はカウンセリング講座の時のもので、この講座は好評だったと聞いています。事務局においては患者・家族の交流会を毎月のように開催しています。交流会や勉強会に参加された方の意見ですが紹介したいと思います。「初めて同じ病気の方と話が出来た、悩んでいるのは自分1人じゃないことがわかってうれしい。」「家族が難病で病気の事を分かるために交流会に参加しました。」「相談する場所が分かっただけで心強く感じた。」との感想がたくさん寄せられています。スタッフの方は患者・家族の気持ちに寄り添ったアットホームな運営を心がけていますので、難病相談支援センターは少人数ながら素晴しいスタッフが揃っているのではないかと思っています。
 3つ目が難病患者地域対策推進の件ですが、在宅療養を続けていらっしゃる患者さんに適切な在宅医療が受けられるよう、これは保健所が中心となりまして、医療機関、市町村等の関係機関が連携をしながら実施している事業です。
 
 
 (スライド10、11、12)医療相談事業、訪問相談事業、訪問指導事業など保健所が中心となって様々な在宅医療支援を行っています。在宅での悩み等は本県の場合、身近になる保健所等を十分ご活用いただきたいと思います。また各保健所においては、地域における患者・家族会の育成支援を熱心に取り組んでいますが、これは全国的にも珍しい取組みだと思っています。地域における患者・家族会、それと難病相談支援センターが全県的に1つの組織としてまとまってお互い連携し合うことによって難病患者さんに対する対策が進んでいくのかなと期待しているところです。以上、県の取組みとして3つをご紹介しました。
 県においては財政的に非常に苦しいですけれど社会保障の中で難病対策をどのように位置づけるかと言う事を十分論議しながら、今後の展開を考えていく必要があると思います。特に特定疾患研究事業で今後対象範囲から除外すると記事等ででていますが、国が今の社会保障の中で難病施策というものをどのように位置づけるのか十分に論議しなければ、安易に縮小や削減があってはならないと思っています。以上です。
 
熊本県福祉総合相談所 所長 樫山 隆 さん(資料)
 
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