第3発表者:佐賀県難病相談・支援センター 所長 三原睦子 様
佐賀県難病相談・支援センターの三原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。佐賀県からは、難病患者の就労支援のお話をさせていただきます。
まず難病患者の就労支援なのですが、生計中心者が患者の場合の課題として、家族の生計中心者が患者の場合仕事が出来なくなると生活も出来なくなるという事で、事例が沢山あるんです。この方はパーキンソン病の男性の方ですが、薬の持続時間がだんだん短くなっており、仕事が出来ないために色んなあせりが出て来られました。薬の調整が出来なくなり、同僚からのいじめとか、震えで字も書けなくなられて結局退職されました。家族関係も、ご主人が仕事出来ないという事で悪化されていました。
今まで病気により培って来たものが全てダメになってしまった。人間として失格しているような気になります。男として仕事が出来ないという事がすごく惨めであると話されました。支援としては、平成15年佐賀市の障害者連絡協議会との連携により、市民会館の駐車場係りとして勤務をされております。今も勤務はされているところです。
就労が決定して仕事が出来ることにより、充実した一日を過ごすことが出来、顔つきも精悍な顔つきに変わられました。平成18年今年まで勤務されて、その後佐賀市の駐輪場の勤務となられました。仕事内容は駐車場係りよりもすごく楽でお給料も上がったということで喜んでおられます。後は就労の継続に関する課題なのですが、就労先が3交代勤務なので、長期に休んだりしますと他の方に迷惑が掛かるという事で辞めざるを得なかった。また上司や同僚からの理解が得られずいじめられ辞めざるを得なかった。という課題があります。
佐賀県の状況としましては、県単独の事業で佐賀県の誘致企業に対して121疾患及びリウマチの患者を受入れた企業に対して、年間雇用奨励金40万円の支給があっております。
また独立行政法人高齢・障害者支援機構が行う、難病患者の就労支援パイロット事業のモデル県として推薦され、研究班での発表を行うことになっております。佐賀県の状況は、佐賀県難病相談・支援センターに寄せられる就労相談は、平成16年の9月から18年3月まで139件ありまして、1割の方に就労が無いというところで相談に来られております。
それから今の支援の現状としましては、就業生活支援センターとの連携で、月にお一人の相談があった場合に、就業支援センターから難病センターにジョブコーチを派遣して頂いて直接その方が面接して就労支援を行っております。また就労が出来ない場合の障害年金や生活保護の支援も行わせていただいております。また社会保険事務所と障害年金の申請の件におきましては、社会保険事務所の方に本人と同行して、年金を受け取れる形で支援をさせて頂いております。
それから公共職業安定所との連携ですが、就労に対する相談また苦情、難病相談・支援センターに来られた場合は、すぐ裏にハローワークがあるので、そちらの専門援助の指導官がセンターに来られて対応させて頂いております。それから佐賀市の障害者就労協議会という所も佐賀市の駐輪場、それから市民会館、公園の清掃や除草等の就労等を斡旋しております。またこういう関係機関とはセンターが行う交流会とかそれから研修会等に参加して頂きまして、難病患者の現状を把握していただいているところです。
企業との連携はここに書いてあるようにNTTマーケティングのコールセンターの訓練、大手企業にも就労が決定しております。いろんな所に今、就労が決定しているところです。それから就労の継続に関する支援も企業に対して医療機関からの診断書により継続して就労が出来るように斡旋させて頂きながら、その場の就労が出来ない場合は配置換え等も考慮して頂くようにしております。
就労に対する考察ですが、相談者一人一人の状況に合わせたきめ細やかな支援が必要で、その方独自の生活、それからその方が出来ること、得意な事そういうところに合わせた勤務体系を考えております。一家の柱の方が発病されると、すごく大変な状況になりますので、企業にきちんと就労されて、それで企業が環境とその方の難病を理解して頂いて、就労が出来るように斡旋をさせて頂いております。就労後の状況に関する支援、それからまた心のケア等もさせて頂いております。
次に難病センターに色々な相談があっておりますが、難病にも指定されてないような患者さん、それから障害をお持ちの患者さんの相談・支援も行わせて頂いております。
今日はFOPに関する事ということで、福祉ネットワークで放送になりましたFOPについてお話を少しさせて頂きます。FOP、進行性化骨筋炎という病気ですが、筋肉が炎症を起こして骨になる難病です。200万人に1人の発症で日本には20症例くらいあるかなという病気です。これという治療法がないまま悪化するのを見守るだけの病気で、病気の進行は早く発病の仕方も様々ですが、ほとんどは頭、首、肩、背中、腰といった具合に張りが起こり、硬直して動かなくなる病気です。症例数が少ないので、日本では原因究明に向けた研究は今のところされていない状況です。FOPの特徴としまして足の親指の付け根の方に骨が出ているという事、外反拇趾のように骨が出ている、だからなかなか判りにくいと思うんですね。それから外傷により筋肉が炎症を起こし悪化する事があるので筋肉注射や手術は勿論、ころぶ、叩く、殴る、といった行為は悪化する要因となります。筋肉というのは身体のいろんな部分にあり、その全てが骨化する可能性を持っている。また身体の間接に骨が出来て自由な動きを奪ってしまう。
今日はFOPの池田さんも一緒に来ましたのでご紹介します。
こんにちは佐賀県から来ました池田と申します。娘がFOPという病気で現在、首や肩などが骨化してしまい非常に苦しんでいます。患者の活動としましては、僅かな患者数しかいない中、皆で団結して国に難病指定の請願を行っているところです。先月厚生省の方にも行って参りました。国の答えとしては早急には出ないのですが、病気は日々進行しています。この病気の認知度が低い事も一つの問題点であり、今回NHKの取材や地元紙の取材を受けながら、一人でも多くの人にこの病気を知ってもらい、またそれが難病指定につながっていけばいいなと思っています。よろしくお願いします。ということでお話を終わらせていただきます、ありがとうございました。
第4発表者:大分県重症難病医療ネットワーク 上原 みな子 様
大分から参りました上原と申します。大分県には相談支援センターがありませんので、難病の方の医療相談を主に受けております私が、解る範囲でお話をさせて頂きたいと思って参りました。
大分県の人口は127万4710人。全国の100分の1ぐらいだといわれるのだそうです。ここの中心地に大分市があります。人口約44万。3分の1位の方がこの大分市に住んでおられます。お隣の別府市が約12万前後、この2つ合わせて大分県の県民の約半分がここにお住まいです。それで難病の方もこの地域に多いかなと思っております。
大分県も保健所が14ヶ所。保健福祉センターと保健所・支所とか合わせてですけども、町村合併が進んで、「○○市」というのが増えて来ています。これに伴ってまた少し保健福祉センターの数が変わると思います。他県でも言われるように、やっぱり県境がありまして福岡県に面している所、熊本県に面している所、宮崎県に面している所があります。ですから福岡県の方にご相談をされる方は大体北側の方達がそうなんですね。こちらにご家族が住んでいらして、ご両親がこちらにいらっしゃるとか、で熊本の方もあるみたいです。それと福岡に多いのは福岡は大都会ですので、そちらに情報が沢山あるのではないかな?と皆さん考えられるから、田舎である大分県に福岡の方がご相談をするっていうのは、それはまずありません。引越しをして来るとかそういう事でこちらに変わった時に、どんなサービスがあるのだろうと聞かれますが、少ないんだなぁっていう感じの印象を持たれと思います。もう一つ、大分県のブランド商品は「関サバ」「関アジ」ってあるんです。食べたことございます?私たちは高くて食べないんですけど、佐賀関っていう所です。去年、一昨年か大分市に入っちゃいました。
一時期佐賀関って地名が無くなっていたんですが、非常に有名となったブランド名なのでまた復活して大分市佐賀関となりました。是非おいで下さい。
ここから大分県の難病対策について少しお話します。保険医療施策と福祉施策に分かれている分でどこの県でもやっておられる事ですけれども、主に相談事業として行われていることをお話します。この重症難病患者医療ネットワーク事業、これは私が担当しているところなので後でちょっとお話をします。次の難病患者地域ネットワーク事業これは各保健福祉センター、保健所が行っている事業ですので、そこでその地域の難病の方の相談事業とかいろんな事業を行っています。その中に訪問電話委託事業ってありますが、これは大分県難病患者団体連絡協議会、難病連ですねそちらの方に保健所の方から委託をしまして、訪問とか電話相談とかをして頂いています。だからピアカウセリング的な役割を難病連の方々にして頂いているところです。
あと相談事業ではありませんけれども、在宅難病患者さんの人工呼吸器の整備事業があります。福祉施策についてはご覧の通りです。今お話した電話相談とか訪問相談を受けて頂いている大分県の難病患者団体連絡協議会に参加しているのは5団体です。以前はパーキンソンとかALSとかも入っておられたのですが今は参加されていません。主な活動は、小規模作業所「ふれあい」を中心に、リウマチの方や膠原病の方が、あの鹿児島の方のようなあんなりっぱな作品が出来てるかどうかは知らないんですけれども、手芸品を作ったり、パソコンを使っての印刷業務をしていらっしゃいます。それと先程お話した訪問談話相談の委託事業を受けておられます。
これは120万の大分県の特定疾患の認定者数です。平成12年から平成17年の間にこれ位ずつやっぱり一時減ったのもあります。ここ3年間位は人口そのものが減ってきているのに難病患者さんの認定者数というのは増えており、平成17年度、ですから今年の3月末で約5,720人の方が特定疾患の認定を受けてらっしゃいます。この下の薄い方は神経筋疾患15疾患の認定者数をあげました。これも同じように増えてきていまして、この折れ線グラフは全体に対してどれくらいの比率かなと思ったら30%程度、45疾患のうちの15疾患で30%という事で比率的には他とあまり変わりはないけれど、序々に増えてきているかなっていう感じですね。ですから今5,700人ですけれども、来年には6,000人を超してしまうのではないかなという話も出てきています。
私が所属しているところには支援センターがありません。ですので、これ以外に話をする事が無いので聞いてください。
大分県重症難病患者医療ネットワークで私が実際にその中で何を担っているのかっていうことを話したいと思います。
実際には医療ネットワークですので在宅支援の中でも協力して、要するに訪問して頂ける様な協力病院だとか緊急時に受入れて頂く協力病院とかを地域の保健所と連絡調整しながら、整えていくために調整役をしたりします。もう一つは福岡からもずっとお話があっていました重症難病患者等の病床確保事業が元々あるものですから、長期入院・短期入院を含めて入院先を探すために協力病院との連絡調整をするという役割を持っています。それから難病に従事してらっしゃる医療、介護、福祉関係の方の研修会を実施しています。これについては大分県各地を回るようにしており、保健所・各保険所に幹事保健所になって頂いて、そことの協力でその地域に必要な難病研修をなるべく実施するように心がけています。
医療相談については、電話、メール等で行うわけでが、今4年目で大体年間1,000件位受けますけが同じ方が何回もというのもあります。単発もありますけれども、一番多い疾患は医療ですので医療相談の中で約7割がALSで筋萎縮性側策硬化症の方です。
その次がパーキンソン病関連疾患でそれが7%、脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の合計で8%、その他の疾患が2%位です。それはこの療養先の確保をする時のご相談を頂く件数の疾患と同じ比率位になります。
ここに難病医療ネットワークで参加している医療機関の地図があります。皆さんには直接は関係ないのでどこに医療機関があろうとかまわないのですが、先程お話したように大分市が一番人口も多いですし医療機関も多いのでこんなに沢山医療機関の協力を頂いてます。
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