第1部 事例発表
第1発表者:福岡難病相談・支援センター 大道 綾 様
福岡県難病相談・支援センターの大道と申します。6月1日より配属になりました。私は以前救急病院で医療ソーシャルワーカー(相談員)をさせていただいておりました。6月1日から開設ということで、1週間程度の相談しか寄せられておりませんが、それでも29件位の相談がありましたので、今日は詳しく発表をさせていただきます。
福岡県の人口は約497万人、これは平成16年度の統計ですけれども、内45特定疾患の患者数が21,509人、これより多分現在は増えているのではないかと思います。福岡県における難病対策というのは、今まで福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業として、福岡県重症神経難病ネットワークというのが平成10年度より開設しておりました。難病医療専門員2名が、神経難病患者の入院施設確保を軸とした相談に応じてきております。その他の難病患者さんに対しては、保健所が交流会や相談会等を実施しておりました。保健所がまとめております主な相談内容は、やはり、病気、診断についての悩み、医療機関の紹介、治療、服薬について、看護の方法、日常生活について、福祉制度についての相談が寄せられています。相談の多い疾患については、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、脊髄小脳変性症、全身性エリテマト−デス、強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎、後縦靭帯骨化症というのが多かったと言う事例です。
この度、平成18年6月1日に開設されましたこの難病相談支援センターの目的は、地域で生活する難病患者様の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進及び就労支援などを行う拠点として設置。患者等の療養上、日常生活の上での悩みや不安等の解消を図るとともに、患者などの持つ様々なニーズに対応した、きめ細やかな相談や支援を通じて、地域における患者様への支援対策を推進する。という目的で設置されています。設置された場所は九州大学病院の中にある、ブレインセンターという所ですが、その難病センターという所にあります。運営主体は福岡県難病医療連絡協議会、重症難病患者入院施設確保等と合わせて、先程ネットワークというのがありましたけど、そのネットワークと業務を共にするということで委託されています。難病相談支援員が私、大道が社会福祉士という事で1名常勤配置ということになりました。左側の福岡県重症神経難病ネットワークと、難病相談支援センターを並べて看板を出しているところですね。右側は私たちの職場の様子で右にいるのが難病ネットワークの専門員と左側が私、大道が事務処理をしています。相談支援センターの中では、左側相談スペースという所と、右側に無料インターネット、これは患者様が来られた時に利用してもらおうというような、インターネットを公開しているのと、下はミーティングスペースですね。関係機関の方とミーティングを行うという場所で設置しています。又テレビなども設置してビデオを見て学習するということも一応出来るようになっております。




6月1日の開設から4日経ってと書いてありますけど、これはまとめた時が4日間だったんですけれども、相談件数が29件、内電話相談が25件、面談が4件、疾患は対象疾患が62%、この対象疾患と言うは難治性疾患克服研究事業調査研究対象121疾患とピンクで囲ってありますけれども、その疾患が62%。それ以外の疾患というのも相談がありましてそれが37%。本人さんや家族がほとんど相談されています。相談を受けた疾患は多岐に亘っています。再発性多発性軟骨炎とか、遺伝性出血性毛細血管拡張症。とても長くて私もまだまだ勉強不足でよく判らない疾患名の方の相談、というのもありまして広い地域から電話を頂いています。広い地域というのも福岡県の特色ですけども、大分県、佐賀県、熊本県に面していますので福岡県にお住まいの方で大分にご両親がいらっしゃるとか、そういう形の相談もあります。1件の相談に30分から1時間位お話を聞いているところです。相談内容で一番多いものは、やはり病気について、診断について、あとはそれについて良い病院を紹介して欲しいという医療機関の紹介ですね。そういうものが多いです。あとこれからの課題は、対象疾患は121疾患ということになっていますけれども、その対象疾患以外の方からの相談というのも多い、その対象疾患以外の相談を今後どうするかということと、医療に関する相談にどういうふうに応じていくかということが上げられます。その課題についての今後の展望と言うことで5つ程あげています。
<医療機関の情報提供>
どこに専門医がいらっしゃるのかというご相談ですね。専門医によるコンサルト医 登録体制、難病相談支援員を通して医療面の相談や質問への回答、助言、専門医療機関の紹介などを今整備しております。
<当事者との交流会支援>
保健所の方が今まで相談を聞いていましたので、その機関と連携をして計画、実施をしていこうという試み。
<ハローワークなどと連携をして、就労に関する相談や情報提供を行う>
今は福岡県労働局へ支援を要請して、これからやっていきましょうという形でご協力をお願いするという形にしています。
<コンサルト医、難病担当保健師、就労支援関係者を集めた説明会>
これは関係者を集めて、これからこのような形にしていきましょうというものを一本化していかなければならないので、今後説明会を行なっていきます。センターに来られない方のため、九州大学に設置ということですが、各地方で遠方の来られない方のために難病相談支援員が場所を決めて出向く体制を整備していこうではないかという課題。これからの計画ですね。福岡県ではこういうふうにやっていきましょうということで今行っています。以上です。
鹿児島県健康増進課疾病対策係り 保健師 今村 恵 様
特定非営利活動法人鹿児島県難病・障害者連絡協議会 理事長 清藤美惠子 様
私は鹿児島県の健康増進課疾病対策係りの保健師で今村と申します。よろしくお願いします。昨日難病センターの看板設置をしまして、今朝の新聞に載りましたので持参しております。鹿児島県の場合は財政的に逼迫しておりまして、なかなか新規でいろんな事業をするということは難しい立場にありました。
私は平成16年から県庁の健康増進課におります。それまでは県の難病対策には保健師はおりませんでした。ただやはりそこの部分に保健師が必要と思い、それまでは現場で難病者を訪問しておりましたが、ある面希望して行きました。
16年の6月、厚生労働省で難病相談支援センターの話が行われたのですが、財政的に苦しい鹿児島県でどういう形で出来るだろうかと考えた時に、その時の報告の中に香川県が発表されたものがありました。それはソフト面での充実という事での対応でした。これだったら何とかやっていけのではないかという事で、2年かかってしまいましたけれども、昨日やっとこぎ着けることが出来ました。
鹿児島県の状況ですけれども、人口が1,800万人弱、だんだん減っており、市町村合併が進んでいます、現在17市28町4村。有人島も沢山かかえており28島があります。南北に600Kmという長い距離も抱えております。保健所が13ケ所ありますが、やがて7ケ所になるという事と、鹿児島市保健所が1ヶ所あります。とにかく鹿児島県は他の地域と違って、こういうような半島もあれば離島も抱えているという現状もお含みおきください。
それで本県の設置にあたっての考え方は、このように離島とか半島を抱えるなどの地域特性を有しているということで、1ヶ所にセンター設置となると身近な場所での相談体制というのは難しいこと。
ALSの患者さん達も最近は近くで在宅療養をしたいと。だから本土じゃなくて喜界島で人工呼吸器をつけたまま生活したい、というようなご要望等あります。その場合にやっぱり小回りがきかないといけない、というようなことも考えました。それと何度もいいますが、本県の厳しい財政状況も考慮しないといけないというような事で、まずは既存の相談窓口の活用という事で、保健所の相談窓口の充実というような事も考えていかないといけない。それぞれの相談窓口の連携、関係機関との連携、これをとにかく充実していかないといけないのではないかという事で、健康増進課の中に「難病相談・支援センター」という事で、難病相談・支援員として私がおります。そして地域難病相談支援センターということで保健所を位置づけました。後で発表していただく清藤さんに難病連・難病支援センターという事で、NPO法人鹿児島県難病・障害者連絡協議会に頑張って頂いております。
私の役割としては、直接患者さんや家族の面接にも応じますけれども、離島、半島を抱えておりますと、ケアマネージャーさんとかメディカルソーシャルワーカーもそうですし、色々ご苦労を抱えていらっしゃいます。そこからの問い合わせとか、SOSも多いです。ですから私はマンパワーとか体制、そういうのをサポートしていく役割があるのでないかなと思っています。行政にいるからこそ出来る事ということで、まず体制作りという事でこの鹿児島県難病相談・支援センター事業を考えるに当たって、今ある事業の見直しをしました。
鹿児島県難病対策推進協議会というのがあるのですが、今までは難病対策協議会ということで、ほとんど特定疾患治療研究事業に関する医療面だけでした。でも医療面だけじゃないという事もあるので、確かに医療の確保もですが地域ケアシステムに関する事、そして難病相談・支援センターに関する事も位置づけ、今まで専門医が多い協議会でしたが、ケアマネ協議会だとか訪問看護ステーション協議会、ヘルパーステーション協議会とか、地域で頑張っているそういう方たちの代表とか、そういう方たちにも入って頂く様にしました。
後は先程福岡県さんが報告された重症難病医療確保事業だとか、そういうネットワーク協議会後、専門的な相談になると対応しきれない部分があるので、認定審査会の先生方にご協力を頂きながらやって行きたいと考えております。これを進めるにあたって鹿児島県、関係機関との連携という所で、図式化したものがあるのですが、この3者だけではなく他の所と連携強化してやっていくという構図も示しましたが、そこの中に鹿児島県難病相談・支援センター実務者検討会というのも掲げています。メンバーとしては難病相談・支援センターの担当者も含めて、労働、就労関係の方々、そして県庁内の関係各課で、その他福祉だとかそういう関係機関等に参加していただきながら、年3回ほど開催したいと思います。その中で相談事例がどんなのがあって、こういう対応に困ったかとか、情報交換をしながら関係機関との連携調整や情報提供をしながらソフト面の充実を図って行きたいと思います。
今回、昨日看板設定をするに当たって5月30日に準備員会を開催し、就労関係の方にも参加して頂きました。その中でいろんな情報交換が出来て、身体障害者手帳をお持ちの方で窓口に行かれる方は結構いらっしゃったのですが、そうでない難病の患者さん達も対応します、という事でしたので、労働局を通じてハローワークに全部文章を出して頂いたり、連携表を作成したりとか、そういうところで今取組みをやっているところです。それで清藤さんにバトンタッチします。
こんにちは、難病連の清藤です。難病支援センターというのは10〜15年来の夢で、まだ半分しか叶ってないです。私たちの大きな目標は、離島が多いので宿泊まで考えて頂きたかった。
私達の活動は、皆さんと全く一緒で、医療講演、療養相談、セルフケア、小規模授産施設「オアシス」という会を作り、そこで特定疾患の仲間のための作業所を開所しています。それから、福祉有償サービスをご存知でしょうか。鹿児島市や市町村単位で出来ていますから、それらと連携を取っているところです。何処地区だったら何処の方が親切ですよとか、患者さんの心を持って応対して下さいます。という連携を私達は必ずやっています。
また、ヘルパーステーションも難病連の中で作りました。今度は「宅老」や「デイサービス」「難病」「障害者」という言葉があると偏見があり、嫁に行かせられない、結婚が出来ないから嫌だと言う声があったので新しくNPO法人「よつば」を作りました。
私たちはこういう事業を全部やって共生、共存ということで、引き篭もり、自閉症の会の方とかCILといって、障害を持った方が家庭で生活出来るというのを援助する会、そういう方々とも横の連携を作っています。
障害者のパソコン教室というのがありますけど、ほとんどの方がモノになってないという事です。マンツーマンで本人にわかり易いように、個人のレベルに合わせて仲間が手伝って一緒にやっています。趣味を持って下さいという、これは私の念願だったのですけど、今皆さん色んな事で事務所に来られて、これっだったら出来る、やれるという形で一つ一つゆっくり歩いています。どんな人でもボランティアって出来るんだよ、というのを今広げています。皆で手を繋ぎながら歩いていこうと言うのが私たちの狙いです。
色々な垣根を超えてこの難病患者さんたちの地域支援体制作りが出来たらいいのかなと思います。やれるところからやって行こうというのが鹿児島県です。どうもありがとうございました。
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