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吸引問題を考えるシンポジウム ?人工呼吸器装着在宅療養者の療法支援のために?

 事業名 難病患者の社会参加へ向けたシンポジウムの開催
 団体名 熊本県難病支援ネットワーク 注目度注目度2


 こういう感じですね。鼻マスクの呼吸補助装置というのは、通常でも口から漏れることを想定してますから、少々空気が漏れても構わないという設計になっています。それを利用して気管切開から逆に積極的に空気を口に漏らして声を出していただこうということです。この場合には、肺にも空気はちゃんと入りますから呼吸困難がなくなるわけです。今、こちらの方法を皆さん希望されていまして、私の患者では、鼻マスクだけっていう方はいなくなってしまいました。あと最初お見せしましたこの方、この方は昼間は鼻マスク、夜は気管切開、これを在宅で奥様が交換されています。夜寝てしまうと口が開いたりとか、舌根沈下を起こして換気がうまく出来ない、だけど昼間は喋りたい。従って夜は気切からバイレベルをやりましょうと。バイレベルと言うのはあの鼻マスク等で使う呼吸補助装置のことですね。それをやって昼間は鼻マスクでしていこう、そういうことによって逆に鼻マスクの期間を伸ばそう。そういうような方もいらっしゃいます。
 このように気管切開に対するわだかまりを断っていただきたい。これが僕たち呼吸管理の側からALSの患者さんにお願いしていることです。そうすることによって気管切開というのは喋ることを失うことでもなければ、呼吸困難がより強くなるということも無い、呼吸困難も無くなって喋れるんだということを、球麻痺が起こってくるまで出来るんだということを皆さんにお話しています。問題だったのは、今までそういう装置にバッテリーが無かった事。アラームの機能が弱かったというのがありましたけれども、最近このレジェンドエアーという器械ですが、これがIMIから出されましてこれはバイレベルから普通の人工呼吸器として使う機能まで全部揃っているのですね。私が一番欲しかった器械が出てきまして、最近はどんどんこれを使っています。先ほど喋っていた患者さんもこれを使っておられます。気切バイレベルでやればああいう具合に喋ることが出来るんだということですね。
 球麻痺が起こって喋れなくなったら、今度は普通の人工呼吸器としてこの器械を使えばいいんです。とても静かです。実は値段も結構安いんです。これからどんどんこれになっていけばいいなと思っています。
 大分の場合、ALS協会で年1回こういうふうに総会がありますが、支援者合わせて200人位集まっておられます。患者さん達も出てこられて、お互いの姿を確認しようという会がもたれております。
 大分市の中でこのように在宅の事を喋らせて頂だきましたけれども、どういう感じでやっているかといいますと、私たち大分協和病院が往診と器材の管理ですね、ガス滅菌等いろいろあります。それから緊急入院、それからもう一つはレスパイト入院。3ヶ月に1回は2週間レスパイトしましょうというふうに皆さんに声かけしております。(スライド7)
 それまでレスパイトが1ヶ月といっていた時には、殆ど患者さんが参加しなかったんですが、2週間という事になって、それなら入ってもいいかと患者さん達が考えて頂いて、今は8割の方がはいっておられる。それから訪問看護はいろんな地域の訪問看護ステーションが、今だいたい全部で10ヶ所以上の方が参加してくれています。訪問介護も同じく10ヶ所以上の方が参加されています。それから大分では、人工呼吸器の患者さんは、デイサービスも受けています。身体障害者の施設、あるいは介護老人施設の方でお風呂に入れる。これを時々ではなくて必ず週に1回とか2回とか曜日を決めて迎えにいこう、という形でやっております。それからヘルパーの吸引指導ですけども、私たちの病院の方の訪看護ステーションが中心になってやっています。あと行政的には年に1回大分保健所の主催で、難病ネットワークの研修会ということで、主にヘルパーの吸引指導も含めてやっているということです。訪問看護ステーションが、こういう在宅人工呼吸管理の鍵だと私は思っていますけれども、ぜひ訪問看護ステーションはびびらずに入ってきて頂きたいと思っているところです。(スライド8)
 次に吸引法に移っていきたいと、本題に入っていきますが、吸引が危険だとか、怖いというイメージは結構、皆さんお持ちだろうと思います。例えば厚生省が、ヘルパーさん或いは非医療者の吸引を認めるに当たって、カニューレ内の吸引ということがうたわれております。それは果たして意味があるのかどうか、皆さんで考えてもらいたいと思いましてビデオを持って参りました。一緒に見てみましょう。
 
――――ビデオ――――
 
 これは実は私らの自動吸引装置の実験の中で撮影されたものなんですね。これは透明なパイプです。ここから痰が出てきます。いや本当は痰じゃないんですけど、卵の白身なんですけれど、そういう状況で人工呼吸をかけるとどうなっていくのかというのを見ています。問題は皆さんが患者さんの痰を引こうという時に、どういうことを考えて痰を引いているかというものを、見ながら考えてもらえるとありがたいです。
 ご覧なりましたか。気管内に痰があるだけでは別に異音も気道内圧の変化も起こらない。ゴロゴロいっている時はもうすでに、カニューレの中に痰が飛び込んできている状況なのですね。それから気道内圧が上がるのは、この空気のラインの中で、一番狭かった部分がさらに狭くなる時です。したがってハイプレッシャーアラーム、高圧アラームがなる場合は、カニューレの中にまですでに痰は進入しているんだということなのです。もし皆さん達がこういう気管切開の患者さんの吸引を考えた時に、例えば異音がするとか、あるいは気道内圧が上がるということをきっかけにして吸引するということであれば、カニューレ内の吸引で実は吸引出来ます。ここで出てくるのがオープン法というタームですけれども、普通の看護師たちは実はオープン法というのをしていません。看護師さんたちがやっているのはクローズ法なんです。それはなにかといいますと看護師さんたちの吸引というのは気管カテーテル、吸引カテーテルを折り曲げて、先の方に吸引が働かないようにしてまず一気に気管の中に突っ込むんですね、で一気に突っ込んでそこでカテを開放してクルクル回しながらズズーとこう吸っていく、これが看護師さんたちの吸引の基本手技なんです。(スライド9、10、11)
 病棟でも、ICU等の急性期でも、あるいは慢性期でも、みな看護師さんたちはこのクローズ法というのを教えられてやっているんです。基本的に病院の中で人工呼吸器を着けてる患者さんは意識がないんですよ。だから別にそれでかまわないのですが、ICU等の場合には例えば5分おきに引くとか、10分おきに引くとかそういう決め方で吸引をするところもあります。
 しかし、こういう異音を元にやるんであれば、そこまで奥に入れる必要があるのかということなんですね。それと意識のある患者さんが中に入れられるというのは大変苦しいものなんです。皆さん方がちょっとした物が、例えばほんの小さな肉片が、気管の中に入るとものすごく咽ますよね。そういうようなことが意識のある患者さんにとっては吸引であるわけです。
 私たちが提唱しているのは、オープン法でこれは最初からカテーテルを折り曲げないで、吸引させたままの状態で、カニューレの中にスーと入れてやるんです。最初にジュジュッと引っかかったところで止めるんです。そのままそれが引き終わるまで引いて1回止めて呼吸器に繋ぐのです。これがオープン法です。これによって異音の原因になっていたり、気道内圧が上昇しているような状況はほぼ解消されます。すなわち窒息を防ぐ手技としてはこれで十分役にたつんです。
 意識のある患者さんにとってこの方法は苦しくないんですね。カニューレ内の吸引で殆ど終わりますので気管の中までは入れない。この方法をヘルパーの皆さん方は覚えていただきたいのです。患者さんに対して危険と苦痛を与えません。積極的に吸引が出来るようになります。
 そういうことで私たち大分協和病院、あるいは大分市ではこれを指定手技にしております。今日、海野さんもいらっしゃいますけども、日本ALS協会のヘルパー研修会の指定手技も、実はこのオープン法なんです。こういうことによってやる方が増えてもらいたい。そして経験を積んでもらいたいというのが現場の声ということになるかと思います。
 もちろん、実は吸引そのものが危険なんじゃなくて、ヘルパーさんたちがこういう患者さんのお宅に入っていって一番危険なのは、人工呼吸器がトラブルを起こすことなんですね。人工呼吸器は器械ものですから必ずトラブルは起こるんです。その時にボーッと見ているようじゃダメだと。もし呼吸器が止まったら何をするか?アンビューをしろと。アンビューバックで押すということを覚えましょうと。こっちの方が僕はずっと大切だと思います。
 救命ということに関しては、そういうアンビューバックを押すような訓練も普段からしていただく。それからもしアンビューバックが無かったら、今度は人口鼻のところから自分で吹き込みなさいと。そういうようなことを総合的に覚えていっていただきたいと思っています。
 吸引は、何も看護師さんがやるように、奥深い所から根こそぎ取らなくてもいいんだということですね。その上で危険の無い吸引の仕方をしていただくと共に、もっと重要な問題も含めて理解していっていただきたいと私たちは思います。(スライド12)
 自動吸引装置の開発ということで、ご指定の項目でもありますので入れていきたいと思います。
 自動吸引装置というのは、私たちが多くの在宅の患者さんを診て、夜中に2時間おきに起きるという方が多いですね。痰を吸引する為にある方は目覚まし時計を6個置いて、2個ずつ同じ時間に鳴るようにしてなんとか起きて吸引をしたという方もいらっしゃいました。
 そういうような夜間の吸引の問題をなんとか解決できないかという事ですね。今、後ろにいる徳永さんと一緒に、実は1999年から何かやれんかなーということで始めてきたわけであります。で、まがりなりにもそれを一応解決出来るシステムを作ることが出来ましたので、お示ししたいと思います。
 これは最初の頃の実験ですね。最初はこのように、いわゆる人間の手でやっているのを単に自動化させることから出発しているんです。これはもう多くの方がトライされたことがあるのではないかと思います。気管内に突き出したこの吸引カテーテルの吸引器の電源を、コントロールしようというところから始めました。(スライド13、14、15、16)
 しかし、第1のブレークスルーと書いていますけれども、まず最初に考えたのは、吸引カテーテルを気管内に留置することの危険性です。気管に置いといて吸引させるというのは、そのうち出血でもさせるのではないか、あるいは気管壁を傷つけるのではないか、ということでございましたが、この吸引カテーテルを気管カニューレ内に留めてやってみようということがまず出発点でした。(スライド17、18)
 このような形ですね。気管カニューレの中で止めちゃうんです。そうすれば気管壁を吸引することもなくなります。(スライド19、20)それで案外うまくいったんですね。であれば、例えばカニューレそのものに吸引ラインをつけてしまおうということになりました。ところが問題が起こってくるのがこれでありまして、人工呼吸器がついたままで吸引を始めますから、吸引が入ると呼吸がとても乏しくなってしまうわけです。空気が取られてしまうんですね。普段吸引する時でも、呼吸器を外してして吸引をかけるわけですけれども、機械の恐ろしさはエラーを起こすということなんですね。吸引器が止まんなくなったらどうするの?という問題です。(スライド21)それで、様々な試行錯誤をしていったんですけれども、考えたのがここでローラーポンプを使おうと。通常の吸引器は使うまい。ローラーポンプを使おうと考えを変えました。
 これは、徳永さんが昔持っていた唾液吸引器、というローラーポンプなんですが、チューブをゴリゴリゴリと回しながら押さえていくんですね。じわじわと吸引していくんですね。これは1分間に15ccという吸引能力でした。普通の電動吸引器というのは1分間に15リットルですから、全然レベルが違うわけです。当初これは気管の中にじわじわ痰を入れる装置として僕たちは実験に使っていたんですけれども、入れるんじゃあなくて抜いてみようやないか、ということでこちらに目がいったわけなんです。
 ちょっとどういう感じで抜けていったか最初の時のビデオをお見せしたいと思います
 
―――ビデオ―――
 
 はい、こういう感じです。本邦最初の、ローラーポンプと、気管カニューレに吸引孔をつけたシステムで痰を引いた時の映像です。ゆっくり痰が引かれているのが解ると思います。
 
 
 これはトラックケアというものですけれども、普通のいわゆる吸引器に、呼吸器をつけたまま引けるという装置なんですが、そういうので例えば吸引をかけますと やっぱり換気が落ちるんです。このように、普段これだけの換気があるのにここまで落ちます。ところがローラーポンプはどこでスイッチを入れたか、どこで切ったか分からない。ほとんど換気に影響が無いという状況であることがわかります。
 そういうことで今まではとにかくちゃんと吸引器が止まるかどうか、というのが最大の眼目だったんですが、これなら止めずにいいじゃない。一日中使っていていいじゃないというふうになったわけです。それで間歇吸引から常時吸引にすることが可能になったということが第二のブレークスルーであります。(スライド22、23、24、25、26、27)
 現在は、ローラーポンプの方の能力を大きくして、臨床試験をやっています。
 それからもう一つは、このカフ下部の吸引孔の位置でした。最初はカニューレ先端にありましたけれども、この位置では吸引孔全体が塞がるまで痰が溜まらないと、なかなか痰が引かれないという問題がありました。それで吸引孔の位置をどうするかということで位置を変えたのがこれです。実はこのカニューレの下側に穴が開いているんです。これならどんどん痰が引かれるということが分りました。ところが臨床試験をやってみると実はあんまり成績がよくなかったんです。半分の方は無効で有効だった方も吸引回数の半減が精一杯ということで意外によくなかった。それからもう一つはこの大問題が出たんですね。気管壁を吸い込んでしまう、吸引孔にですね。これを突破するのをいかにするかというのが実は最後の大関門だったわけです。それに関しては、この下側にある穴を内側までくりぬいてしまおうというということです。(スライド28、29、30、31)
 つまり下にあるだけではなく、内側にも孔を開ける、そうすると内側の孔がリリーフ弁になって下側で気管壁が吸い付かなくなってくれる。それともう一つ意外な利点があったのは、カニューレ内に一気にはまり込んでしまった痰も、内側の吸引孔から吸ってくれるということが起こりました。
 この吸引孔の工夫によって成績が一気にアップしましてこれがそうなんですけれども、全員有効でありまして、無効がいなくなりました。しかもその内の7例の内5例までは、いわゆる危険率0.1%以下という統計学の世界で言えば、一番レベルが高いと有効性そのような状況になりました。例えばこの方16.9回、1日に平均17回吸引があるという方が2回まで落ちるというような状況になりました。他の方もこの著効例の方は例えば、10回が1.8回、5回が0.4回これ2日に1回位ですね、そういう形でやってて、慣れていただけると1週間に3回だけとか、6日間連続で吸引なしとかそういうことが起こって参りました。ちょっとそのあたりを最後に、ビデオをお見せして終わりたいと思います。
 
―――ビデオ―――
 
 この方式ですね。下方内方吸引とローラーポンプで当初夜間が目的だったんですけども、このように日中もほとんど痰を引かなくて済む、という状況が出来るようになったということであります。吸引回数がこのように減少できる、夜間の睡眠が患者さんも家族もどちらも、患者さんも朝まで気がつかずに眠れるということになります。それから吸引というのは苦しいものだというイメージがありますけれども、これでいく場合には全く苦しくはないということでございます。もちろん引き続き体交等は必要です。しかし、これさえ付けとけば寝っぱなしでいいというわけでは全然ないわけですね。それから無人化にしていいというわけでもありません。
 器械というのは何時止まるか分からない物であります。あと大きな問題ですけども、口や鼻は、これはやっぱり別途引かなくてはいけないということで、これがあるからヘルパーさんはいらないとかいうことでは、全然ないということをご理解していただきたいと思います。(スライド32、33、34、35、36、37、38)
 私たちは、非侵襲性、非接触性というこれをいかに保つか、ということが最後の務めとして残っていると考えています。このような考えでやっております。これまでいろいろカニューレを検討しながら、最終的には下方内法吸引という方式にいきついたということであります。
 今まで多くの機関から研究補助を頂いてここまでやってくることが出来ました。最初に実用化に近づいたという、或いは実用化というようなことを言われましたけども、日本で医療機器を実際に販売するというのは、薬事の認可という非常に大きな壁が実はあります。(スライド39、40)
 医療機器には、絶対的な安全性が求められております。今そこに出す資料を作っている段階で、これがまだなかなか越せてないのですが、なんとか頑張って研究を続けてこれを越してですね、在宅で頑張っておられる皆さん方に、少しでも役立つ器械を早く出したいと思っております。時間が少し過ぎましたか、どうもご清聴ありがとうございました。
 
 
 


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